2021 Fiscal Year Research-status Report
対光反射を用いた他覚的視野評価法の有用性に関する研究
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20K12720
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浅川 賢 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (60582749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 他覚的視野評価 / 対光反射 / 瞳孔視野計 / ヘッドマウント型視野計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対光反射を他覚的視野評価の指標としている。対光反射の起源は、視細胞と考えらえてきたが、近年、メラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)が同定された。mRGC由来の対光反射は、赤色光にはほとんど反応しないものの、470 nmの青色光に感受性が高い。これらを踏まえると、赤・青色光による対光反射測定は、視細胞と網膜神経節細胞の障害や特性変化を非侵襲かつ簡便に評価可能となる。本研究では、健常者に対して赤・青色光による対光反射測定の検者内の再現性や検者間の一致性、既存機器との関連性を検討した。 平均年齢21歳の健常者32名(男性16名・女性16名)を対象とした。試作機を使用し、10分の暗順応後、1分間隔で右眼 → 左眼の順に100 cd/m2の赤・青色光による1秒光刺激の対光反射を測定した。縮瞳率(光刺激前の初期径-光刺激中の最小径/光刺激前の初期径×100)(%)のパラメータにおいて、同一検者内の再現性を変動係数(%)とBland-Altman plot、異なる検者間の一致性を級内相関係数(ICC)、既存機器との関連性を相関係数(r)にて、それぞれ検討した。 変動係数(1回目・2回目)による再現性は、赤色光(11.0 %・13.2 %)・青色光(5.6 %・6.3 %)ともに高かった。また、1回目と2回目の平均値の差は0に近く、有意差は認められなかった(赤色光:P = 0.834・青色光:P = 0.930)。Bland-Altman plotは、顕著な加算誤差と比例誤差は認められなかった。級内相関係数による一致性は、赤色光(ICC = 0.78)・青色光(ICC = 0.71)ともに、一致した。機器間の関連性は、赤色光(r = 0.08)・青色光(r = 0.19)となり、相関は認められなかった。 赤・青色光ともに対光反射の再現性と一致性は高かったことから、他覚的視野評価法の指標として有用であるが、既存機器との直接比較はできないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は健常者の基礎データを収集することを目的とした。他覚的視野評価の指標となる対光反射において、検者内の再現性や検者間の一致性、既存機器との関連性を検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大学病院を受診した患者を対象とした、症例でのデータを収集し、自覚と他覚の視野評価結果が一致するメカニズムを解明していく。現時点で、いくつかの興味深い知見が得られており、7月に開催される第11回視野画像学会のシンポジウムにて公表する予定である。
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Causes of Carryover |
データの解析費用や成果発表の旅費、論文掲載費に予算を計上していたが、無償で解析を依頼できたことや学会がオンライン開催、神奈川県・東京都などの近郊で開催されたため。 次年度は最終年度でもあるため、積極的な成果発表を行うことで、広く社会に発信していきたい。計画としては、症例データの解析費用やシンポジウムをはじめ、3つの学会参加費・交通費(横浜・埼玉・倉敷にて開催)および、現在執筆中を含めた3報の論文掲載費・英文校閲費に予算を執行させていただきたい。
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