2021 Fiscal Year Research-status Report
複合セラミック製人工股関節の耐用性検証とその予測精度向上を目指した新たな提言
Project/Area Number |
20K12721
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 康仁 東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立岩 俊之 東京医科大学, 医学部, 講師 (00424630)
宍戸 孝明 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70266500)
正岡 利紀 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70256270)
山本 謙吾 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工股関節 / 複合セラミックス / 加速エージング / 相変態 / 残留応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複合セラミックス製人工股関節インプラントを対象とした高圧蒸気環境下での加速エージング試験を実施し、構造安定性評価を行った。対象は、現在臨床使用されているATZ(alumina-toughened zirconia)およびZTA(zirconia-toughened alumina)大腿骨頭とし、各材料でエージングのみを施行した群と微小亀裂作成後にエージングを施行した群の比較分析を行った。エージング時間は、各材料の活性化エネルギーに基づき、体内の1-40年間のインプラント期間に相当するよう決定した。評価項目は、試験前後のジルコニア相変態分率およびこれに伴う残留応力の経時的変化とした。 複合材料であるため、エージング前からアルミナ相では圧縮応力、ジルコニア相(正方晶)では引張応力が存在し、組成比の違いによってその値に有意差が認められた。ATZでは母相の応力場が引張、ZTAでは圧縮であったが、全体の平衡応力はいずれも小さい値であった。エージング時間の増加とともに単斜晶ジルコニアの体積分率が漸進的に増加し、これに伴う体積膨張で単斜晶ジルコニアが大きな圧縮応力を発生させ、アルミナおよび正方晶ジルコニア相の初期応力値を徐々に減少させた。10年相当の試験後、ATZの方では相変態速度が増加し、20年以降に相変態率がZTAを上回った。微小亀裂後にエージングを行った群では、両材料で各種変化が増幅し、より高度な相変態進行を認めた。微小亀裂後の変化は、ZTAの方がより大きいものの、40年後の相転移分率ではATZの方が高くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では本事業の遂行において予期せぬ事態は生じておらず、当初予定通り複合セラミック製人工股関節の構造劣化シミュレーションおよびその後の分光評価を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はエージング時間をさらに延長し、また組成の異なるサンプルに関しても同様の手法で加速エージングおよびラマン・蛍光分光分析を実施し、構造劣化のメカニズムに関するより詳細な理論計算結果を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
レーザーや各種フィルタなどの光学機器の交換やその他保守点検や追加サンプルの購入など高額な支出が必要になった場合に備えて、次年度以降の研究の遂行に支障が出ないよう一部の研究費を繰り越すこことした。
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