2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of AR assist system for medical professionals
Project/Area Number |
20K12723
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
田仲 浩平 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (60449949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸引技術 / コンテンツ / 臨床工学技士 / ARグラス / 医療技術 / 医療機器 / 医療施設 / 医療従事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療施設の協力のもと、医療従事者にとって作業効率が向上し、安全性の高いARグラスに搭載する有用なコンテンツ開発を目指すもので、2020年度は、医療施設での聞き取り調査と、医療施設における実証試験によりその有用性を明らかにするものである。検証方法は、医療機器を制御するための操作時間及び回路等の組付け精度の2項目を画像データから計測し分析することで作業効率を定量的に明らかにする計画であった。 しかしながら、COVID-19感染拡大による医療施設への立ち入り制限等もあり2020年度のコンテンツ調査については前期の調査検証は中止、後期から臨床工学技士へのリモートでの調査を行った。東京大学医学部付属病院MEセンターの協力を得て、人工呼吸器及びECMO等の管理上必要な医療手技として吸引操作コンテンツの開発を行うこととした。医療従事者にとって、吸引操作は人工呼吸器操作で重要かつ必須の医療技術であり、医療機器操作管理コンテンツの前に準備しておくことが必要となるもので、このコンテンツ開発の意義は大きいものと考えられる。 現在、人工呼吸器の操作・管理コンテンツの一部として、気道吸引、口腔吸引、鼻腔吸引等のコンテンツの開発を開始しており、はじめに、口腔吸引コンテンツの開発を2020年度後期から開始している。2020年度中は吸引コンテンツの開発が遅れたが、2021年4月末の時点で口腔吸引コンテンツの試作が完了した。この後、この吸引コンテンツを用いて作業効率を検証するとともに、医療事故防止の観点から医療技術の知識が定着することを検証する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の予定では、医療施設に出向き臨床工学技士はじめ医療従事者とのディスカッションを行い、医療安全対策で課題となる医療機器の取り扱いや医療手技について、その医療行為の作業手順や工程を確認しつつ、代表的なコンテンツの抽出を行うことを計画していた。しかしながら、COVID-19感染拡大により医療施設への立ち入りが実現できず、代表的な医療機器として人工呼吸関連、ECMO関連における聞き取り及び取扱う機材の確認、作業工程の確認、医療手技として吸引操作、採血操作、血圧測定などの操作手順の確認が困難であった。特に、コンテンツを制作する場合、医療従事者とのディスカッションによるリスクある医療手技の作業手順等のフローチャートの共同制作、物品準備、画像及び音声記録等が難しく実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度からは、2020年度で行うべき医療施設において臨床工学技士はじめ医療従事者とのディスカッションを再開し、医療事故対策の課題となるコンテンツについて調査を開始する。COVID-19感染拡大により医療施設でのディスカッションが難しい場合、リモートによるディスカッションを想定している。しかしながら、コンテンツ制作には、実際に医療機器の操作状況等撮影や音声等の記録が必要なため、医療施設と相談のうえ対面での打ち合わせを行うことを計画している。医療施設での対面による打合せ等が難しい場合は、予め本研究で想定した人工呼吸器、ECMO、吸引操作、血圧測定、ガウンテクニック、輸液等のコンテンツ制作の意見、評価等も含めリモートを活用する。撮影については、教育現場の実習室を利用するなど工夫を行う。現在、吸引操作類のコンテンツを開始しており、引き続き、採血技術、血圧測定技術、輸液技術等を行う計画である。吸引に関しては、具体的には口腔内吸引、気管吸引、鼻腔吸引の3種類の制作を進める。次に、採血技術とともに、血圧測定では、マニュアル操作による腕と大腿による測定などを予定し、輸液技術では基本的な操作、輸液ポンプ、シリンジポンプ操作コンテンツの制作を行う計画としている。
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19の感染拡大の影響により医療施設への訪問・対面調査等の中止とともに、必要物品として計画していたスマートグラス及びコンテンツ等の物品購入が困難であったため、次年度使用額が生じることとなった。 2020年度当初は、COVID-19収束のタイミングを計りスマートグラス及びコンテンツの制作に取り掛かり、続いてデータ処理用のPC及び大型ディスプレイを購入する計画であったが、感染拡大による医療施設への出入りが難しい状況が続き、医療施設でのデータ収集などが困難と判断しデータ取集用の関連機材一式の購入を延期した。医療施設の出入りが制限された中で、上記の機材を購入したとしてもデータ収集やコンテンツ制作、データ分析が不可能と考えられる。医療施設と協議の上、2021年度早々からデータ収集やコンテンツ制作のための医療施設との連携を図り研究を再開することにした。特に、本研究で用いるスマートグラスBT-300が生産中止となっており、2020年度中の在庫品の導入を取りやめ、次年度販売される同型新型のスマートグラスを購入することとした。 2021年度は、前年度で購入する予定であったスマートグラス及びデータ保存・記録・表示装置等の購入をはじめ、当初予定されている2021年にかかるコンテンツ制作費用と合算して当初の計画通り、医療施設への対面調査、また学会発表など国内旅費及びデータ収集に関わる人件費を合わせた使用計画とする。
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