2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of AR assist system for medical professionals
Project/Area Number |
20K12723
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
田仲 浩平 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (60449949)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ARグラス / 操作吸引コンテンツ / 医療事故防止 / 医療従事者 / トラブル回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に医療手技と医療機器取り扱いコンテンツの2つを用いた研究を実施した。 当初は、医療手技として採血コンテンツを開発する計画であったが、吸引コンテンツが十分なデータが取集できていないことから2022年度は気道吸引コンテンツのデータ取集を行うこととした。1.2021年度に開発した(口腔、鼻腔、気道)の3種類をを用いた。3種類の内、医療従事者にとって難易度の高い気道吸引コンテンツを選び、東京工科大学の学内実習の一部で気道吸引操作のトレーニングを実施、このトレーニングにARグラスを装着した実習を取り入れた。 2.研究協力機関である東京大学医学部附属病院のMEセンターの協力のもと、除細動器の取扱いARグラスコンテンツを開発し、既存の取り扱いマニュアル(ペーパーマニュアル)とARグラスによる実務者(看護師、臨床工学技士)による操作時間・操作精度について実証試験を行った。その他、ECMO及び人工呼吸器等の医療機器の取り扱いコンテンツの開発を予定しているため、2022年度に第60回人工臓器学会及び定常流ポンプ研究会に出席した。第60回人工臓器学会ではテーマ「AR(Augmented reality)グラスを用いた気管内吸引操作の技能支援コンテンツの開発」で研究成果を報告した。定常流ポンプ研究会の出席ではECMOの遠心ポンプによる医療事故を防止する観点で2023年度中にECMOのトラブル回避コンテンツの調査を行うため本会へ出席を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、医療事故防止のために医療従事者用の支援として、ARグラスを用いて医療技術の直接支援、また医療者教育としての支援として独自のコンテンツを開発してこれを実証することを目指している。2022年度より対面が可能となったが少人数、また空間密集、時間制限なども残る状況の中で、吸引コンテンツの実証及び東京大学医学部附属病院での実証を行った。学内実習でARグラスを用いたデータ収集においては、30人以上での実証を行い、既存のペーパーマニュアルに比べARグラスでの吸引操作の操作精度の向上を確認できている。また、東京大学医学部附属病院MEセンター内での除細動器の取扱いコンテンツの操作の比較では、ペーパマニュアルに比べARグラスによる操作精度の向上が確認できた。しかしながら、ARグラス自体の重さやバランスの影響で、グラスがズレる、また音声認識センサが除細動器の警報音を拾い動作停止する現象が発生するなど、ハード面とアプリの反応に対する不満が多いことがわかった。なお、音声認識アプリについては警報音を拾わないようにアプリ内での騒音設定を最適化することで現象が収まっている。ハード面にバランスの問題については、2023年度からの研究で影響を及ぼさない様、固定具の工夫などハード面を支える工夫で進めて行きたいと考えている。 現在までの進捗状況としては、医療従事者が求める医療手技としての難易度から「吸引操作技術」と「医療機器操作:除細動器の取扱い」の2つで研究開発を進めたのでおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の課題は、ARグラス自体のユーザビリティーに課題(操作性、重さ等)があり、また、アプリケーションの方は音声認識の応答性による操作性に対する不満も多く、これらの改善が重要と考えられる。具体的な対策として、音声認識アプリの最適化のため企業と連携し最適化を進める。また、グラスの不満に関しては、固定具の工夫(製作)等で対応することを考えている。 2023年度は、医療従事者の医療行為として広く行われている採血操作に注目しこのコンテンツを開発する。また、手術で用いる医療器械のコンテンツを開発し、直介支援への効果を検討する。2023年度は、2種類のコンテンツ開発を進捗させる計画である。
|
Causes of Carryover |
2022年度当初に予定していた採血手技のコンテンツの開発(外注)を行い、学内での実証を行う計画としていたが、感染防止の観点において、被検者を集めることが難しいと判断したため、旅費、その他で次年度使用が生じた。未使用分として、2023年度予算では、コンテンツ開発費、学会発表のための旅費、検証における被検者への謝金に使用する計画である。
|