2021 Fiscal Year Research-status Report
Adaption expansion of evidence based negative pressure wound therapy
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20K12725
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
東 隆一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 形成外科, 准教授 (00531112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛引 俊宏 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 准教授 (30403158)
堀口 明男 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 泌尿器科, 准教授 (20286553)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 局所陰圧閉鎖療法 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy: NPWT)は、創傷部位に陰圧を加えることで治癒を促進させる物理療法である。陰圧による創縁の引き寄せ、肉芽形成の促進や浮腫軽減などの効果により創傷治癒が促進するといわれているが、多くの臨床医や研究者から「虚血創に対してNPWTを適応した場合の微小循環血流の変化を分析することにより、創傷や皮膚潰瘍に対するNPWTの科学的根拠に基づいた適正治療指針の策定が必要」とされている。すなわち、陰圧に応答する創傷部位における血流動態などを検証し、創傷治癒促進に寄与するメカニズムを明らかにする基礎研究が必要とされている。 そこで、本研究2年目は、創傷部位における血行動態に影響を及ぼすサイトカインなどの発現について、in vitroで詳細な解析を行った。ヒト由来ケラチノサイトを対象に、NPWTにおける創傷治癒促進作用のキーファクターを見つけるためにサイトカイン発現の網羅的解析を行った。その結果、陰圧培養下でCD147が減少し、PAI-1が増加していることを明らかにした。CD147はマトリックスメタロプロテアーゼ誘導因子としても知られ、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通糖タンパク質である。隣接する線維芽細胞を刺激してマトリックスメタロプロテアーゼを産生させることで組織の線維化や血栓性炎症に関与する。PAI-1はPlasminogen Activator Inhibitor-1と呼ばれるセリンプロテアーゼ阻害タンパク質で、Serinスーパーファミリーに属している。PAI-1はプラスミノーゲンをプラスミンに変換する働きを持つウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子および組織型プラスミノーゲン活性化因子の主要な阻害物質で、組織の線維化や線溶系の調節により創傷治癒を促進すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を前倒しで進めるだけでなく、追加の研究を行うことができており、順調に進展している。具体的には、当初の計画では、マウス植皮モデルに対するNPWTの効果を検証する計画であったが、さらに詳細な治療メカニズム解明のため、当初計画していなかったin vitro培養細胞でのメカニズム解析をさらに追加して詳細な研究を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、マウス植皮モデルに対するNPWTの効果を検証する。つまり、皮膚全層を移植(植皮)した後、汎用の植皮固定方法とNPWTによる移植片の生着について比較評価する。さらに、移植片の病理組織学的評価、植皮片内新生血管数や生理活性物質量の比較評価を行う。移植床からの血管内皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子の分泌量を測定し、植皮内に新生する血管数の測定を行う。
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Causes of Carryover |
本研究に関連する国内および国際学会のほとんどが中止または延期となったため、旅費の支出が全くなかった。しかし、次年度以降はオンサイトでの学会開催も予定されているため、本研究成果の発表や本研究進捗に資する情報収集に向けた学会参加を、これまで以上に積極的に行う予定である。
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