2023 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現解析によるインフルエンザワクチンのin vitro安全性評価法の構築
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20K12727
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
百瀬 暖佳 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (70415488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | in vitro評価系 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクチンは一般的に健康な人に予防的に接種されるため、我が国においては有効性のみならず安全性が特に重要視される。人に接種されるワクチンの安全性は従来、動物実験等により評価されてきた。投与後の動物に体重減少等を認めたワクチンは経験的に副作用が多いとされており、動物実験では主に動物の生体反応を安全性の指標としていた。一方、近年では厳重な管理の下で高品質なワクチンが製造できるようになり、動物実験は削減や改良が求められている。我々は、体重減少等の生体反応に先立って動物の組織内で遺伝子発現が変動することを想定して検討を行い、インフルエンザワクチンの安全性を評価するためのマーカーとなる遺伝子群を同定している。本研究課題ではこれらマーカー遺伝子を用いたin vitro評価系の構築を目標としている。 2023年度はin vitro評価系の安定化、簡便化へ向けた試みを行った。構築したin vitro評価系は反応性が不安定となる場合があったため、評価系の安定化へ向けて細胞濃度やワクチン添加法の条件を一部修正した。簡便化は細胞ライセートから直接マーカー遺伝子の発現を解析することが可能となった。一方、マルチプレックス化は困難であったため、遺伝子発現解析に先立ち細胞の反応性の有無をスクリーニングする評価系を検討した。マーカー遺伝子の5’-非翻訳領域にはISREを持つものが多いことから、IRF経路の活性化をルシフェラーゼ活性でモニターできる細胞株を用いて検討した。その結果、インフルエンザワクチン添加によって濃度依存的なルシフェラーゼの活性が認められ、それに応じたケモカイン産生、マーカー遺伝子の発現亢進が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所掌業務による多忙のため。
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Strategy for Future Research Activity |
選定した細胞株によるin vitro評価系がインフルエンザワクチンだけでなく、ワクチンに含有されるアジュバントや添加剤等の評価にも適応できるか検討し、成果を発表する。
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Causes of Carryover |
研究状況が当初の計画より遅延しているため。遅延分の検討は2024年度に実施する。次年度使用額は2024年度に繰り越した検討に必要な物品の購入、学会発表、論文投稿に係る費用に使用する。
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