2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者の歩行ランドマーク特徴の抽出と学習型支援装置の研究開発
Project/Area Number |
20K12729
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡辺 寛望 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30516943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 勉 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00452136)
小谷 信司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80242618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / ナビゲーション / ランドマーク推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者が自立した生活を送るためには,単独歩行は不可欠である.しかしながら,視覚障害者の単独歩行には多くの危険が伴う.駅のプラットホームからの転落や歩道からの飛び出しによる自動車との接触事故も多い.ビッグデータを活用したシステムやサービスが増えてきたが,晴眼者の行動を記録したデータの利用が多く,視覚障害者の行動については研究が不十分である.その理由の1つとして,データの収集方法が確立されていないことが挙げられる.本研究では,視覚障害者の行動データの収集方法を確立することを目的とする.さらに,GPSの電波が受信できない駅構内などの屋内の行動も記録可能なシステムを構築する. 令和2年度は,視覚障害者の歩行記録を蓄積するシステムの構築と歩行データのヒートマップ画像変換の実装を行う計画であった.歩行記録として,歩行経路等の歩行データ,歩行中に得られる周囲の画像データ,周囲の音データを行動データとして蓄積する.これまで開発してきた支援装置に周囲の音データを記録する機能を追加し,データ収集装置を構築した.さらに,歩行データから滞在時間を基準としたヒートマップ画像を生成するプログラムを開発し,ヒートマップ画像の取得を実現した. さらに,周辺の画像データについては,通常のカメラ画像に加えて,深度画像が取得可能であり,小型かつ軽量なセンサを検討し,歩行中の深度画像を取得した.取得した深度画像からリアルタイムに床面,壁,天井,正面の障害物を区別する手法を検討し,実装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の計画である周囲の音データの記録機能を,これまで開発してきた支援装置に追加した.さらに,歩行データをヒートマップ画像に変換するプログラムを開発し,ヒートマップ画像の取得を実現した.歩行記録を蓄積するサーバシステムの構築には至っていないが,代わりに周辺の画像データについて再検討した.検討の結果,通常のカラー画像に加えて,深度画像が取得可能な小型かつ軽量なセンサを選定し,選定したセンサを用いて,歩行中のカラー画像と深度画像の取得を実現した.取得した深度画像からリアルタイムに床面,壁,天井,正面の障害物を区別する手法を検討し,深度画像を用いた領域判定と障害物検出を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究計画通り,歩行記録の蓄積と歩行データの学習を行う.歩行記録の蓄積は,新型コロナウイルス感染症の拡大状況を考慮しながら,可能な限り多くのデータが収集できるよう安全面の対策を徹底する.さらに,被験者の安全性の確保と不安を解消するために,装置の消毒や広い場所の確保,実験補助者の増員が必要である.研究分担者とも確認しながら,研究を進めていく.歩行データの学習は,他の研究課題で実装してきた深層学習の手法を基本とし,学習方法の検討と学習環境の構築を行う. さらに,研究成果を学術講演会や国際会議で発表し,広く発信していく.
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Causes of Carryover |
複数名の歩行データを記録するために,複数台の支援装置を製作する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響により,多くの被験者によるデータ記録は実現が困難であることが予測できたため,複数台の支援装置の製作を次年度以降に変更した.これにより次年度使用額が生じたが,計画の変更により,より高性能なコンピュータとセンサを搭載可能となり,システムの高性能化が実現できると期待できる. さらに,学術講演会への参加のための旅費を計上していたが,新型コロナウイルス感染症拡大の影響による開催時期の変更や開催方式の変更があり,参加の見合わせと旅費の削減があり,次年度使用額が生じた. 昨年度製作予定であった複数台の支援装置を製作するため,物品費および消耗品費を支出する.さらに,国内外の学会での研究成果の発表や最新の研究調査も積極的に行う.被験者を伴う実験の際には,被験者の安全性を確保するために,装置の消毒や広い場所の確保,実験補助者が必要となる.安全性に十分配慮して可能な限りのデータを収集したいため,その対策として消耗品の支出が増え,次年度使用額も使用する計画である.
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