2020 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の家電製品操作能力と認知機能との関連;人間のためのテクノロジー発展のために
Project/Area Number |
20K12740
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 純子 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助手 (50858248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 謙一 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (90239559)
熊居 慶一 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助手 (30858246)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 家電製品 / 遂行機能 / 軽度認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者に使い易いまたは使い難い家電製品とはどのようなものか、家電製品の操作実態と認知機能との関連を明らかにすることである。本研究は、新型コロナウイルスの影響により地域在住高齢者を対象とする説明会を開催することができず、当初の計画通りに対象者をリクルートすることができなかった。その為被検者を少数に絞り、過去の調査結果と今回の調査結果との比較分析に重点をおいた。 代表者らは平成26年より宮城県涌谷町において実施した認知症有病率調査に於いて同時に家電製品の実物品操作課題を施行した。その結果、電磁調理器(以下、IH)の操作が遂行機能と関連し、新しくIH調理器を導入するのに相応しい時期はCDR0(健常)かつ火気事故(火の消し忘れや後始末の不備)が起こる前、かつ遂行機能が保たれていることが望ましいことが示唆された。しかし学習効果については明らかにならず課題が残った。 今年度の研究成果として、CDR0.5(軽度認知障害)の状態でも家電製品の操作に学習効果があるとみられ新式の家電製品を操作できる事例があった。「事例1」は一年前と比較し、神経心理検査で全般的認知機能と遂行機能が低下していても、実物品操作課題は改善していた。「事例2」は一年前と比較し、神経心理検査で全般的認知機能が低下しても、遂行機能は改善しかつ実物品操作課題も改善していた。「事例3」は、一年前と比較し、神経心理検査で全般的認知機能が改善、遂行機能ではTMT-Aが改善したが符号問題で低下、実物品操作課題は低下(中断)していた。 「事例1」「事例2」では学習効果の可能性があるとみられた。 在宅高齢者の家電製品の操作と脳機能との関連については先行研究も少なく学習効果についての研究はみられない。今後増々進む高齢化社会においては高齢者に使い易い家電製品開発のため更なる研究の進展が望まれる。
|