2021 Fiscal Year Research-status Report
近赤外蛍光検査システムを応用した新しい嚥下機能評価に関する基礎的研究
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20K12741
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉見 佳那子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (90822560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 卓二 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10282097)
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
西村 吾朗 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (30218193)
戸原 玄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00396954)
中川 量晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60585719)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近赤外線 / 蛍光色素 / 嚥下障害 / 嚥下機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、蛍光計測法の有用性評価のための予備実験を実施した。 牛肉ブロックとバルーンカテテールを用いてヒトの咽頭の梨状窩を再現し作成したファントムと、ヤギの頭頸部標本を使用した。実験項目は、①近赤外線ファイバおよび蛍光検出ファイバを取り付けたプローブの頚部への照射角の設定、②咽頭通過する食物中の蛍光を計測可能な蛍光強度積算時間の設定、③咽頭残留を計測する最適スパンの検討、である。その結果、①光プローブと頚部の接触角度が蛍光強度可否に大きく影響すること、②嚥下時に食塊が咽頭を通過する速度での蛍光検出は深さ25mmまでは可能であること、③最適スパンは10mmから20mmであること、がわかった。 また、人を対象とした計測では蛍光計測と嚥下造影検査を同時に実施する予定であったため、ICG入り検査食に硫酸バリウムやとろみ剤を混和した場合に、蛍光強度に影響するか調査した。その結果、混和前と比較し混和後は蛍光強度が大きくなる傾向が見られたが、検査自体には支障はないことがわかった。 予備実験終了後、実際に嚥下障害患者を対象とし計測を実施した。対象は、東京医科歯科大学病院摂食嚥下リハビリテーション外来を受診する嚥下障害患者4名である。嚥下時の蛍光計測および嚥下造影検査を同時に実施し、得られた蛍光強度と検査画像を対応させた。その結果、咽頭残留、咽頭通過の蛍光検出が可能であった。一方で、プローブの接触位置や接触強さが検出精度に影響するため、プローブ形態やセンサの感度を改良し、検査手技の簡易化と検出精度向上を検討する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は新型コロナウイルスの影響により患者の参加が困難であったことや、分担研究者が共同研究先を訪問できず、測定に立ち会えない等の理由によりやや進捗が遅れていた。今年度は感染状況に配慮しながら、予備実験に加え患者を対象とした測定を実施することができた。本年度の目標は嚥下障害患者10名を対象とした測定であり、目標人数には到達できなかったが、予定していた新規手法と従来手法(嚥下造影検査)の比較、検出能力の検討を実施することができた。また測定結果から、検査手技や機器の改良に関する課題を抽出することができた。よって、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者を対象とした測定でのプローブの精度や検出手技に関する課題をふまえ、現在機器の改良を行っている。今後も嚥下障害患者を対象とした計測を実施すると同時に、①頚部の厚みと梨状窩までの距離が蛍光強度に影響するかの検討、②最適なスパンや波長の検討、③最適なICG濃度の検討、④改良した機器での測定とデータ採取、を目標に進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大および緊急事態宣言により、嚥下障害患者を対象とした臨床研究の実施が遅延した。それに伴い、予定していた機器の改良とその後の再測定が今年度中に実施できなかったため次年度使用額が生じた。請求助成金は、次年度の機器改良に必要な経費、学会発表(国内、国外)、英語論文の投稿費用および掲載費用等に使用する予定である。
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