2022 Fiscal Year Research-status Report
光周波数帯域制御よる不随意機能の生体制御技術の確立 -薬を使わない治療法の提案-
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20K12742
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
浅野 裕俊 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (70453488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠 / 自律神経系活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠不足や睡眠障害は心身の健康に大きく影響する。令和3年度の総務省による社会生活基本調査によると、2001年から2016年にかけて睡眠時間は減少傾向で推移している。日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、特に1日のスマートフォン・パソコンなどの使用時間が長い人ほど睡眠時間が 短い傾向にある。この要因の一つに照明機器の多様化と電子情報機器の普及により、昼夜問わず暴露されるようになった電子機器から発する光が挙げられることから、その影響を調査することは重要である。これまでLED照明を利用して光の色と波長帯域幅の2つに着目した研究を実施してきた。これまでの研究では室内照明による影響を調べるため反射光を用いて実験を行っていた。パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイが普及してきたことから、直接発光するものを見る直接光を用いた実験が必要であると考えられる。また、光の照度条件については未検討であったことから当該条件についても検討する必要がある。そこで、本研究では、睡眠の質に関係するLEDの光の波長帯域幅と照度に着目し、青色LEDの直接光から発する光がヒトの覚醒度に及ぼす影響について生理心理評価を実施した。特に、波長帯域が異なる青色LED広帯域光と狭帯域光の2種類を作成し、照度が異なる2種類の光源を用いて実験を実施した。それぞれの LED で光源は500lxと100lxの2つの照度条件とした。また,広帯域光と狭帯域光のピーク波長は465nmになるように調節した。実験の結果、心理と生理の両方において照度,帯域幅による影響がみられた。特に、心理では高照度および狭帯域光において眠気が促進され、生理では低照度および広帯域光において眠気が促進されることを示唆した。ただ、本実験結果は被験者数がまだ少ないことから、本年度は関連研究結果についてのみ学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施した実験結果は、現状、被験者数が少なく、直接光への変更および照度条件の追加にともなう実験結果と過去の実験結果との照らし合わせが十分でないため、次年度も引き続き、被験者数を増加しつつ、解析・評価を行なっていく必要がある。そして、新しい実験結果を当該実験結果を基に刺激部位や呈示条件、実験環境等についての条件を再度整理していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況にも記載したが、被験者数に問題があったことから、引き続き、実験を実施していきたいと考えている。また、本年度未実施となっていた青色以外の直接光条件についても未検討となっていたことから、実験システムの改良および実験についても検討・実施し、過去の実験条件との照らし合わせを行なっていきたい。加えて、昨年度実施した機械学習及び覚醒レベル推定精度に関する評価の実施についても引き続き、モデルの改良を行い、精度向上を目指していきたい。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していた実験が予備実験に留まってしまい、結果的に予算が余ってしまった。そのため、本年度まで延長し、当初計画していた本実験を実施する計画である。
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