2020 Fiscal Year Research-status Report
長期・継続的健康モニタリングを可能とする日常生活歩行速度測定の確立のための研究
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20K12751
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 恒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50339727)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歩行速度 / 日常生活 / フレイル / スマートフォン / GPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、長期・継続的健康モニタリングに活用できる日常生活歩行速度の測定評価方法を、日常生活における歩行速度の日内変動、季節変動の分析結果を踏まえて定義すること、および日常生活歩行速度と、慢性疾患、フレイル、IADL障害などの健康アウトカム指標との関連を明らかにすることである。研究計画初年度の2020年度は、過去に地域高齢者のコホートにおいて収集したデータを活用して、日常生活歩行速度と実験室歩行速度との比較、それらとフレイルとの関係を分析した。また、全国ユーザデータをもとに、日常生活歩行速度の基準値について検討した。 地域高齢者コホートのデータは、「板橋お達者健診2011コホート2018年調査」で収集されたものであった。この調査では、20m以上の定常歩行を検出する度にGPSによる測位に基づき歩行速度を算出するスマートフォンアプリによって、1ヶ月間の日常生活中の歩行速度測定データを収集した。また会場招待型調査において、実験室歩行速度やフレイル関連指標を測定した。分析対象者は測定値が50回以上得られた90名であった。日常生活歩行速度(日常生活で測定した歩行速度の平均値)は1.28m/sで、実験室歩行速度1.42m/sよりも有意に遅いことがわかった。一方で、日常生活歩行速度のプレフレイルの判別能は実験室歩行速度と統計的な有意差はなく、プレフレイルの判別に利用できる可能性が示唆された。 全国ユーザデータは民間の生命保険会社の加入者で、2016年10月~2018年3月に渡って前述のアプリによる測定値が50回以上得られた8429名であった。日常生活中に測定された歩行速度の分布は一峰性で、正規分布に近いことがわかった。したがって、その平均値である日常生活歩行速度は、日常における歩行速度を代表する指標とみなせる。この結果を踏まえ、性年齢区分別の日常生活歩行速度の基準値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域高齢者コホートにおける新たなデータ収集は、コロナ禍の調査制限により行えなかったが、過去に収集したデータを活用して一定の成果が出せている。全国ユーザデータについても、過去に収集されたデータについては計画通り受け入れが完了し、分析に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域高齢者コホートについては、これまでの研究では、対象者にフレイル高齢者が含まれず、プレフレイルをアウトカムとした分析を行ったことが課題であった。対象者数を増やし、フレイル高齢者のサンプル数を確保するため、コホートにおいて新たにデータ収集を行う。コロナ禍で会場招待型調査が行えない場合は、スマートフォンアプリによってフレイル関連指標を収集する。全国ユーザデータについては、アウトカムデータと照合した分析を行えるように準備する。
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Causes of Carryover |
計画していた学会出張が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため次年度使用額が生じた。
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