2022 Fiscal Year Research-status Report
長期・継続的健康モニタリングを可能とする日常生活歩行速度測定の確立のための研究
Project/Area Number |
20K12751
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 恒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50339727)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 日常生活歩行速度 / フレイル / スマートフォン / GPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常生活歩行速度の測定方法を日内変動、季節変動の分析を踏まえて定義すること、日常生活歩行速度と健康アウトカム指標との関連を明らかにすることである。これまで地域高齢者コホートの会場調査において日常生活歩行速度に関する研究参加者を募ってきたが、健康な対象に偏り、フレイルに該当する高齢者を組み込めていなかったことが課題であった。2022年度は日常生活歩行速度を測定するアプリを民間企業の顧客の健康増進サービスに実装することで、フレイル高齢者を組み込み、日常生活歩行速度とフレイルとの関係について検討した。 対象者は、住宅サービスを行う企業が提供する住宅に居住する55歳以上のオーナーを対象に案内を送付して募集した。参加希望者は案内状に印刷されたQRコードから自身のスマートフォンで研究の説明文書が記載されたアプリのダウンロードサイトにアクセスし、研究参加に同意した上でアプリをダウンロードして使用した。アプリではスマートフォン内蔵GPSとステップカウンタから歩行速度を自動的に測定した他、チャットボットによって基本チェックリストなどの質問票の回答を収集した。2020年8月~2021年2月にアプリをダウンロードし、歩行速度と基本チェックリストのデータを得られた163名を分析対象とした。 健常65名、プレフレイル69名、フレイル29名であった。フレイルでは身長、体重が健常・プレフレイルよりも有意に低値で、膝痛の有病率が高く、主観的健康感、精神的健康度が低かった。日常生活歩行速度は遅い傾向で、歩幅が有意に低値であった。日常生活における歩行速度や歩幅がフレイルで低値であることは、性、年齢、歩数、慢性疾患などを調整しても統計学的に有意であり、日常生活歩行速度はフレイルの評価に活用できることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで過去に地域高齢者のコホートで収集したデータや、全国ユーザデータをもとに、研究計画に沿って分析を進めてきたが、より多くのフレイル高齢者を組み込むために、Webベースの評価を導入し、日常生活歩行速度とフレイルとの関連のデータを、より多くのサンプルから収集できている。 地域高齢者のコホートでは追跡調査を行い、日常生活歩行速度と健康アウトカムとの縦断的な関連を分析するためのデータを収集した。全国ユーザデータについても継続的にデータ提供を受けられる体制が整っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度が当初計画では最終年度であったが、研究期間中は新型コロナウイルス感染防止対策のために、地域高齢者コホートの会場調査では収集できる項目を限定する必要があり、日常生活歩行速度に関する調査を十分に進めることができなかった。そのため、研究計画を1年延長し、日常生活歩行速度に関するデータ収集を継続する。 2023年度は、地域高齢者のコホートにおいて、スマートフォンアプリだけでなく、アンクルバンド型加速度計などのデバイスも用いて屋内歩行も含む日常生活歩行速度データを収集し、より多くのフレイル高齢者の日常生活歩行速度データを収集する。コホートの会場調査やアプリを通じて健康アウトカムデータを収集する。これらのデータを縦断的に解析し、屋内・屋外で測定した日常生活歩行速度の特徴や健康アウトカムとの関連について明らかにする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、計画していた学会出張がオンライン開催となった、地域高齢者コホートにおける調査が、感染対策のため規模縮小して実施となったことなどによって次年度使用額が生じた。 最終年度は加速度計などスマートフォン以外のデバイスによる日常生活歩行速度測定の妥当性検証のためのデバイス購入、学会出張、研究論文のオープンアクセス化に研究費を使用する。
|
Research Products
(5 results)