2020 Fiscal Year Research-status Report
粘弾性特性を用いた下肢浮腫の定量評価の検討と評価システムの開発
Project/Area Number |
20K12759
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉本 佳世 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (00735409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 浮腫 / 粘弾性モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
浮腫は皮下組織に細胞外液が過剰に貯留した状態であり,高齢者における下肢浮腫の有病率は高い.下肢浮腫が重症化は,高齢者のADLを低下させる要因になる.浮腫の状態をアセスメントする方法として,圧痕テスト(pitting-test)と呼ばれるものがあるが,主観的なスコア付けとなっており,定量評価が難しい.そこで,本研究では,浮腫の力学的特性を粘弾性モデルで表現し,浮腫に対して圧力を加えた時の変位の時間的変化を計測することで推定した粘弾性特性と浮腫の評価方法として用いられているパラメータとの関係を明らかにすることを目的としている.本年度は研究環境の整備と数値シミュレーションを用いた基本的な検討を行った. (1)圧痕テストを模擬した粘弾性特性推定装置の試作 10秒間一定圧力で圧迫を与える圧痕テストを模擬するために,親指を模した形状のパーツを3Dプリンタを用いて作製し,一定圧力で圧迫できる装置を試作した.想定している4要素粘弾性モデルでは力-変位関係が計測できれば与える圧力の履歴によらずパラメータ推定を行うことが可能であるが,条件を簡単化した状態で検証を行うためにまずは一定条件下で実験を行えるように装置を構成した. (2)ファントムを用いた粘弾性モデルの検証 皮膚の力学特性は粘弾性モデルで表現できることが知られている.4要素粘弾性モデル(弾性×2、粘性×2)に基づく式を用いたパラメータ推定アルゴリズムを構築し,数値シミュレーションにより妥当性を検証した.また,正常な皮膚と程度の異なる4段階の浮腫のある皮膚を再現している触診モデルを用いた基本的な検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究環境や推定アルゴリズムの構築は予定通り進んでいるが,形状センサの選定が遅れたため触診モデルの特性計測が実施できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
形状センサと触診モデルを用いて,浮腫モデルのパラメータを確認する.また,ヒトに対する実験に向けて,ファントムを用いて得られた結果から計測時に与える圧力などについて検討を行い,実験系を調整する.
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Causes of Carryover |
形状センサの評価・選定が遅れたため.形状センサはR3年4月に購入済みであり,今後実験に合わせて消耗品を追加購入する予定である.
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