2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K12767
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中村 裕二 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (80404789)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 座面 / 椅子 / 動作解析 / 筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,椅子を駆動させながら前方リーチ動作を行う時の体幹前傾角度および筋活動を明らかにし,生活動作に必要となる動作を行う際の油圧バンパー設定の基礎資料とすることを目的にデータ測定を実施してきた. 対象は,20~30代の健常成人10名とし,課題は,前方リーチ課題とした.対象者には膝関節と足関節が90度になるよう座位姿勢を取り,上肢長×1.3の距離で目の高さにある指標に対し中指でリーチするよう指示した.課題は5回実施し,分析対象は3回目の施行とした.動作解析はダートフィッシュ10.0(ダートフィッシュ社)を用い,課題中の体幹前傾角度と椅子の傾斜角度について算出した.体幹前傾角度は機器調整の都合上,第7頚椎と大転子,大腿骨外側上顆によりなす角から求めた.椅子の傾斜は水平線に対して座面が傾く角度とした.また,筋電図はテレマイオDTS EM-801(ノラクソン社)を使用し,導出筋に送信機(EMG プローブ)を装着し,サンプリング周波数1000Hz,フィルタ特性15~500Hzの設定で測定した.動作解析からは最大体幹前傾角度および座面の傾きを求めた.筋活動からは,椅子が最大前傾するまでの各筋の%EMGを算出し,平均筋活動及び個人内での筋活動パターンを分析した. これらのことから,安全に上肢を伸ばせる130%距離へのリーチ動作では椅子の前傾角度は5度程度となり,食事や書字に必要な10度程度の前傾は補助できていないことが示された.しかし筋活動の側面からは下肢への負担は少ないことが示唆された.今後は,油圧バンパーの設定を最適化し,リーチ距離が上肢長の130%未満においても座面を10度程度前傾できるよう調整を加えていく.また,研究期間を通して,座面を電動化するうえでの基礎データを採取し,電動椅子の原型を作成することが出来た.今後は実用化に向けた臨床データを採取していく必要がある.
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