Noninvasive online urine sugar sensing in daily life

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K12772
• Research Institution: Hiroshima Institute of Technology
• Principal Investigator: 大谷 幸三 広島工業大学, 情報学部, 教授 (40351978)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 尿糖 / 光センシング / モニタリングシステム / 健康管理

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，腰掛便器に組み込み可能な光学式尿糖モニタリングシステムの開発を目的としている．開発する計測技術の概略を述べる．まず，近赤外線レーザ光を測定対象へ投影し，液面と容器底面から反射する２つの光を光角度センサで検出する．このとき，液面からの反射光を利用し液面レベルを検出する．次に，容器底面からの反射光を利用して，溶液内部を通過する光線の軌跡を解析し，溶液の屈折率を算出する．この屈折率から尿比重を推定する．また，容器底面からの反射光強度が，糖の赤外吸収特性により減衰していることを利用して糖濃度を算出する．尿を排泄する前後の溶液に対してこれらの計測を行うことで尿糖値を推定する．
本年度は，溶液に含まれる糖成分を微粒子としてモデル化し，溶液に投影した近赤外線レーザの軌跡と強度を光線追跡法に基づき算出するための幾何光学解析シミュレータを作成した．このシミュレータは，液体内部の糖（グルコース）成分を微粒子としてモデル化し，液体内部に投影した光の散乱挙動を光線追跡法により解析するものである．粒子に対して反射および透過特性をもたせることで，光線が粒子間で多重反射する軌跡や，光線の行路長を計算することができる．光線の軌跡と光強度から尿比重と糖濃度を求める相関式を確立することが目標であったが，これについてはまだ検証途中である．尿中の糖の性質をさらに調査し，粒子のサイズ，個数，反射・透過特性などをモデル化する必要がある．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

糖濃度は赤外吸収量と相関がある．そこで，尿中に照射した近赤外線に対して，光強度解析に基づき糖濃度を計測する方法を検討したが，近赤外分光センサの選定と入手が遅れたこともあり，いまだ検証途中である．グルコース溶液をサンプルとして，近赤外分光センサを使った実験を進めている．

Strategy for Future Research Activity

尿比重は尿の屈折率と相関があり，糖濃度は赤外吸収量と相関がある．そこで，尿中に照射した近赤外線に対して，幾何光学解析に基づき尿の屈折率を計測し，また，光強度解析に基づき糖濃度を計測する方法をそれぞれ確立する．ただし，糖の赤外吸収による光強度変化だけでは十分な情報が得られないことも報告されているため，計測した尿比重と糖濃度を組み合わせることで信頼性の高い尿糖値推定法を検討することが目標となるが，それには光角度センサの高精度化が必要となる．光角度センサの原理は研究代表者らが開発したもので，2台の光位置センサとハーフミラーから成る．各センサとハーフミラー間の距離が異なり，それぞれで検出した光入射位置の偏差から，ハーフミラーへ入射する光線の方向ベクトルを算出するものである．今後は，光位置センサとしてPSD(Position Sensitive Detector)を用いる点が課題になる．PSDの高速サンプリング特性を活かし，液面の揺れを考慮した光角度計測法を確立することが目標となる．

Causes of Carryover

コロナ禍で学外調査および成果発表が困難であったため，その予算が未執行となった．次年度はオンラインでの活動を考慮した研究計画を立案し，遂行していく予定である．