2023 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時動画解析による生体情報抽出法の開発と睡眠状態変動推定へのその応用
Project/Area Number |
20K12773
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
前田 誠 九州産業大学, 理工学部, 講師 (00274556)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 睡眠動画解析 / ヘルスケアモニタリング / 独立成分分析 / LSTMモデル / 心拍変動解析 / 寝顔形状解析 / クラスタリング / 因果分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は以下の2つの計画について研究を進めた。 【計画1: 数学モデルに基づく赤外線動画からの自律神経リズム抽出法の開発】 心拍間隔を予測する数学モデルの開発にむけ、引き続きアルゴリズムの改良に取り組んだ。2024年6月~12月にかけて3被験者に対して1時間の昼寝実験を繰り返し、開発中のアルゴリズムの検証を行った。その結果、心拍間隔の予測精度にばらつきがあり、実験期間前半では心拍成分の抽出精度がそれほど高くないことが確認された。被験者とカメラの距離を適切に設定しなかった実験において、その問題が顕著に表れた。また1時間程度の睡眠においても心拍関連信号に非定常性が現れており、独立成分分析の分離精度に問題が出ている。解析区間を小分割し、区間ごとに独立成分分析による信号分離を実施し、LSTMモデルを用いた心拍信号成分の同定を繰り返すことで、この問題を回避できると考えている。現在このアルゴリズムの実装を進めている段階である。 【計画2: 顔形状の短期的・長期的特徴変化と睡眠状態との関係性の調査】 長期の昼寝実験を通して、睡眠中の寝顔変動が予想される局所領域の時間変動を解析した。その結果、同一睡眠における経時変化に着目すると、目元が最も良く動いていることが確認された。また、睡眠日が異なっても似たような寝顔形状をしていることが確認された。一方、長期に渡る同一被験者の寝顔形状を解析したところ、体調の良さに関係していると思われる兆候を確認した。多数の寝顔形状から得られた特徴量を4次元に次元圧縮しクラスタリングしたところ、実験日によって頻繁にクラス変動する日とそうでない日が存在することが確認できた。被験者のアンケートと比較すると体調が良い日とクラス変動が少ない日が対応していることが確認できた。ただし、これらは主観的に判断している部分もあるため、因果分析等を通して詳細に検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度にようやく3被験者に対して長期に渡る昼寝実験を実施することができた。しかし、マンパワーが足りず、全被験者のデータ解析が終わっていない。そのため、再度1年延長させていただくことにした。最終年度も引き続き令和5年度に取得した睡眠データに対して解析することで、アルゴリズムの評価を進めたい。 赤外線動画からの自律神経リズム抽出法の開発においては、一部に問題点が確認されたため、そのアルゴリズムの修正を進める。1時間程度の睡眠においても心拍関連信号に非定常性が現れており、独立成分分析の分離精度に問題が出ている。これは、長時間データへの独立成分分析の適用においても影響が考えられることであり、解析区間を小分割し、区間ごとに独立成分分析による信号分離を実施し、LSTMモデルを用いた心拍信号成分の同定を繰り返すことで、全時間帯における自動解析ができるように改良を行う必要がある。 また、顔形状の短期的・長期的特徴変化と睡眠状態との関係性の調査においては、現在実験時に回収した被験者の睡眠アンケートについて十分分析できていない。これらの客観的分析を進めて、睡眠状態と健康状態の因果関係を調査する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度にようやく3被験者に対して長期に渡る昼寝実験を実施することができた。最終年度も引き続き令和5年度に取得した睡眠データに対して解析することで、アルゴリズムの評価を進めたい。また終夜睡眠実験についても数回追加実施し、長時間睡眠におけるアルゴリズムの評価も進める。 赤外線動画からの自律神経リズム抽出法の開発においては、一部に問題点が確認できたため、そのアルゴリズムの修正を進める予定である。これは長時間睡眠動画の解析においても有用な修正であると考えられるため、昼寝および終夜睡眠実験データに対して評価を進め、赤外線動画からの睡眠リズムの可視化手法の確立を進める予定である。 また、顔形状の短期的・長期的特徴変化と睡眠状態との関係性の調査においては、睡眠アンケート結果における健康との因果関係を見つける客観的な解析ができていない。そのため因果分析などを利用し、そのアンケート結果を客観的にとらえ、その分析結果と寝顔形状との関係を調査する予定である。また寝顔形状では目元に着目すると寝苦しさ等の指標になると考えられ、引き続き、寝苦しさ、歯ぎしり、開口睡眠などが特徴的な顔形状の変化に注目し、その因果関係についても明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
令和5年度には遅れていた長期の睡眠実験を実施できたため、謝金などの支出も予定通り行った。一方で、参加した国内学会がオンライン開催であったりしたため、旅費の支出が少なかった。これらの理由により次年度使用額(93,670円)が発生した。次年度では国内学会の旅費として使用する計画である。
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