2021 Fiscal Year Research-status Report
思想史的位置づけと基本諸概念の解明をとおしたアンリ・マルディネの哲学の体系的研究
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20K12776
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小倉 拓也 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00739401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンリ・マルディネ / エルヴィン・シュトラウス / 感覚 / リズム / ダンス / 空間 / 形象 / 超受容性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アンリ・マルディネの哲学を、その思想史的位置づけの解明、そしてそれにもとづく基本諸概念の解明をとおして、体系的に研究することである。研究計画では、2021年度は、マルディネの「リズム」ならび「形」の理論をドイツ観念論および美学の観点から研究することとしていた。 2021年度は、これにしたがい、以下の成果が得られた。なお、ドイツ観念論の部分については、研究は進めることができたが、成果発表には至っていない。 まず、マルディネが大きな影響を与えたジル・ドゥルーズの形象論を、精神医学的なヒステリー概念および美学的な浅浮き彫り概念に注目し、ジクムント・フロイトおよびマルディネ(そしてマルディネが依拠する美学者のアロイス・リーグル)との関係において論じる論文をパブリッシュした。 また、マルディネのリズムと形の哲学を、その批判的継承関係を前後に構成するエルヴィン・シュトラウスのダンス論と、ドゥルーズとガタリのリトルネロ論との対照において位置づける論文をパブリッシュした。 以上に加えて、フランスの臨床心理士、精神分析家であるブノワ・ヴェルドンによる老年精神医学、老年心理療法に関する著作を共訳で翻訳し、刊行した。これは2022年度に計画されているマルディネの精神病理学的研究につながることが期待できる。 以上のとおり、2021年度は、当初の目的、計画に沿って、2編の論文をパブリッシュすることができ、研究進捗状況はおおむね順調だと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で示しているように、当初の研究目的、研究計画に沿って、マルディネの哲学の主要概念を、その思想史的位置づけの観点から明らかにする研究を遂行し、2編の論文をパブリッシュすることができたから。ドイツ観念論の観点からの研究は、継続し行い、成果の発表を試みるが、同時に2022年度に計画された精神病理学的研究につながりうる翻訳の出版を行うことができたので、「おおむね順調」だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究計画に沿って、マルディネ自身のテクストと、思想史的に関連するテクストの読解を基本としながら、その思想史的位置づけと、基本諸概念を明らかにしていく。2022年度は、研究計画にあるとおり、マルディネの哲学を精神病理学的観点から明らかにする研究を行い、成果の発表を目指す。また、2021年度から引き続き、ドイツ観念論の観点からの研究も行う予定である。
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Research Products
(6 results)