2023 Fiscal Year Annual Research Report
思想史的位置づけと基本諸概念の解明をとおしたアンリ・マルディネの哲学の体系的研究
Project/Area Number |
20K12776
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小倉 拓也 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00739401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンリ・マルディネ / ジル・ドゥルーズ / フェリックス・ガタリ / マルク・リシール / リズム / 実存 / 超受容性 / 自閉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アンリ・マルディネの哲学を、その思想史的位置づけの解明、そしてそれにもとづく基本諸概念の解明をとおして、体系的に研究することである。研究計画では、2023年度は、構造主義以降の哲学に与えた影響の観点から見たマルディネ哲学の現代的意義の検討を計画していた。2022年度に計画していたが十分に取り組むことができなかった精神病理学の観点からの「超受容性」概念の研究とともに、2023年度の研究を下記のとおり実施した。1. マルディネのリズム概念について、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリのリトルネロ概念や神経学的音楽療法におけるリズムの問題との関係において、その特徴、意義、課題を論じた。2. ドゥルーズにおける実存主義とその背後にあるフリードリッヒ・シェリングの哲学の持つ可能性について、堀千晶の最新のドゥルーズ研究『ドゥルーズ 思考の生態学』の成果に応えるかたちで、マルディネがそれらに与えた影響を念頭に論じた。3. ドゥルーズとガタリの反精神分析的思想とリズムの哲学を、それらに影響を与えたマルディネの精神病理学とリズムの概念を念頭に論じた。4. マルク・リシールによる援用の観点から、マルディネの「超可能性」と「超受容性」、そしてそれらの思想史的布置、現代的意義について論じた。このように、2023年度は、マルディネのリズムや実存の概念に関連する研究を行いつつ、2022年度に計画していた精神病理学の観点からの「超受容性」の研究も行い、それらの思想史的、現代的な意義の考察にまで至ることができた。実績としては、総計で、著作3件、学会等発表が5件、うち1件が国際学会等での発表となった。
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Research Products
(8 results)