2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K12791
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
君嶋 泰明 法政大学, 文学部, 准教授 (70846617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 技術の哲学 / ハイデガー / 技術 / 自然 / 呪術 / カルノー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、学部・学科運営にかかわる業務負担増により、当初の計画の通り技術分析論陣営のサーベイを行うよりも、前年度に得た着想をさらに発展させることにリソースを集中させる方が実りがあると判断し、その作業を行った。その結果、以下のような成果を得た。 前年度の成果によると、ハイデガーの技術論は、テクノロジーの現状を、自然それ自身が人間にたいして投げかけるある種の要求の帰結として理解しようとするものであった。本年度は、この要求の内実と、それへの人間の応答の仕方を分析した。 まず、応答者としての人間の側には、これはこれで、必要物が自分の求めに応じて即座に現れてくることを求める、即時的現出要求とでも呼べるものが存している。これは、かつてマリノフスキーが呪術の根源と呼んだものだが、これは技術の根源でもある。他方、技術は呪術とは異なり、自然の側からのある種の要求に応じようとする。このことが、技術を呪術とは似て非なるものにしているのである。 この自然の側からの要求には二つのものが属している。まず、必要物が現れてくるためには、それはあらかじめ適切なかたちで自然のうちに局在化していなければならない。それゆえ、私は必要物の局在化を求めるよう自然の方から暗黙理に要求されているといえる。これが第一の要求である。他方、私は自分の求めるものが何であるかを規定するよう、あらかじめ自然の側から要求されてもいる。これが第二の要求である。本研究では、このような考えをハイデガーに帰すことができると見なし、この二つの要求にたいする人間の応答が実際に技術の発展をもたらしたと考えられることを、サヂ・カルノーの火力機関をめぐる考察に即して示した。 以上の成果により、本研究は、科学技術史や実際の技術の発展に即してハイデガー流の技術の存在論を展開する足がかりを得ることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学科での主任業務などにより十分な研究の時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイデガーに基づく技術の存在論の枠組みはある程度構築することができたので、今後は分析論陣営の議論を参照しながらこの枠組みの妥当性を検証していく。
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Research Products
(2 results)