2020 Fiscal Year Research-status Report
フランス現象学の領域横断的展開を踏まえた対話の哲学の系譜学的再編
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20K12793
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 香織 神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (50839404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 思想史 / フランス現象学 / ドイツ・ユダヤ思想 / レヴィナス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レヴィナス研究を起点としたうえでフランス現象学の領域横断的展開を踏まえ、20世紀前半のドイツ・ユダヤ思想における「対話の哲学」と呼ばれる流れのうちローゼンツヴァイクを中心に扱いながら「対話」についての議論を批判的に検討し再編することを目的とするものである。本年度はまず、レヴィナス協会で公刊されたオンラインジャーナル『レヴィナス研究』第2号(2020年7月)に寄稿した。この論考は昨年度レヴィナス協会で開催されたシンポジウム「レヴィナスとローゼンツヴァイク 歴史と物語をめぐって」に登壇した際に発表したものである。またレヴィナス協会では『レヴィナス読本』の項目執筆および論考執筆、メンバーとの意見交換を通じてレヴィナス研究の進展に協力した。10月25日には実存思想協会第36回臨時大会(オンライン開催)でフランスの現象学者ミケル・デュフレンヌの美学における「準-主観」の問題について研究発表を行った。同内容の論文は査読の結果、実存思想協会の機関誌『実存思想論集』最新号に掲載されることが決定している。また、11月29日には日本現象学会第42回大会(オンライン開催)でミケル・デュフレンヌの「美感的還元」に関する研究発表を行った。さらに日仏哲学会の機関紙『フランス哲学・思想研究』に論文を投稿し、査読を経て最新号に掲載が予定されている。 カトリーヌ・シャリエ『無限者の痕跡:エマニュエル・レヴィナスとヘブライ的源泉』の翻訳企画については、現在、訳注の整備の段階に入っており、2021年度中に公刊予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定されていた『無限者の痕跡』の翻訳について着実に作業を進めている他、実存思想協会と現象学会で研究発表を行い、論文も複数執筆することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
カトリーヌ・シャリエ『無限者の痕跡』の翻訳を確実に完成させ公刊し、後期レヴィナスにおける時間論の検討を進めるとともに、ローゼンツヴァイクの認識論に関する論文を執筆する予定である。2022年3月には、実存思想協会でローゼンツヴァイクに関するシンポジウムが予定されているためこれに向けて準備をしていく。その他、神奈川大学における「哲学」の授業(2020年度の主題は「対話」であり、本研究と深く関わる)の書籍化の企画を出版社から提案されたため、現在企画を進めている。
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Research Products
(5 results)