2023 Fiscal Year Annual Research Report
道教から聖教へ―中国密教における喫茶文化の形成に関する研究―
Project/Area Number |
20K12806
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
張 名揚 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (80850875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 密教星供 / 観想 / 存思 / 「称名寺聖教」 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、茶を用いる密教星供の一環として行われる観想を、道教の存思と比較し、特に両者における理論の類似について考察した。そして、その成果を「称名寺所蔵「本命星供略次第」に見える思想と文化」(実践女子大学文芸資料研究所編『年報』43、2024)として発表した。 すでに指摘されているように、密教の観想における曼荼羅の使用は、道教の図像を用い要る道術、すなわち「存思」にヒントを得た可能性があり、さらに密教の観想を記す資料の表現にも、道教と近似する部分がある。そこで道教的色彩の濃厚な密教星供は、観想の部分においてどのような道教的要素が見出せるか、称名寺所蔵「本命星供略次第」(「称名寺聖教」318函120号)を一例として考察を行った。「本命星供略次第」に記される「道場観」は、道場の建立から、儀礼で供養する本命星・本命曜・本命宿の出現、およびその姿までの観想の過程を記している。この記述は、寛助(1057~1125)の『別行』巻七「諸天・下・星宿供」の「道場観」と対照すると、図像の曼荼羅の内容を文字化したものと推察される。 そのうち、穢れが火になる「赤色の光」によって焼き尽くされるという浄化論、文字による事物の生成論、また「七宝荘厳の宮殿」という文字の表現や、諸星が本命星・本命曜・本命宿を巡って敬礼するという動的描写などは、唐代以前の道教思想と存思との類似が見られる。密教星供が道教などの俗信を受容して生まれたとされることを考えると、これらの共通点があっても不思議ではないが、これを精査することで、現存資料の少ない中国密教星供を構成する古層的な部分、あるいはその日本における受容と変容の一端を明らかにすることができるはずである。
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Research Products
(2 results)