2022 Fiscal Year Research-status Report
真宗地域における葬墓制と他界観に関する民俗学的研究
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20K12818
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
本林 靖久 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (30626833)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 真宗民俗 / 無墓制 / 墓上植樹 / 葬墓制 / 他界観 / 先祖供養 / 納骨 / アエノコト |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の本研究は、フィールドワークを継続的に実施し、真宗地域の儀礼慣行の現状を調査した。特に、昨年度同様、能登地方の真宗門徒の儀礼慣行を他宗旨の場合と比較し、真宗民俗の内実について検討した。 まず、前年度まで調査研究を続けてきた能登地方の特有な真宗民俗と言えるコンゴウ参りについて、その研究成果を論文として刊行した。 フィールドワークとして、昨年度同様、奥能登の国指定重要無形民俗文化財であるアエノコト神事について、真宗門徒と他宗旨檀家との行事内容の比較調査を実施した。行事そのものは真宗門徒の家でも行われてきたにも関わらず、田の神様に厳粛で丁重な饗応をもてなす家は、真言宗や曹洞宗の檀家であることが多い。真宗門徒の家では、家ごとの報恩講に豊穣報謝が含まれ、盛大な膳がでた。そのことが、真宗の家ではアエノコト神事が概して簡素に繋がったのに対し、真言宗や曹洞宗の家では、田の神行事を中心に感謝と予祝の全てが込められていることが厳粛な行事として今日まで続いてきたものと思われる。 また、能登の国指定重要無形民俗文化財であるアマメハギ行事(来訪神)の調査を実施し、真宗村落で行われている背景を村や家の年中行事と照らし合わせながら検証した。そのほか、真宗地域に伝わる念仏踊り(盆踊り)の調査と資料を採取し、真宗地域の死生観や他界観について考察した。 その一方で、3年目の今年度は、真宗地域のなかでも鹿児島県・熊本県・愛知県・岐阜県を対象にした自治体史(民俗編)や民俗調査報告書による葬送墓制の事例報告を網羅的に把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の北陸地方、2021年度の中国地方に続き、2022年度は、九州・東海地方の真宗地域の葬墓制の事例を自治体史(民俗編)や民俗調査報告書によって網羅的に把握しつつ、真宗村落の宗教生活の実態を整理し、データベース化を実施した。しかしながら、近畿地方の真宗地域の把握が遅れている。 また、重点的に能登地方のフィールドワークを実施し、行事には参加できたが、コロナ禍の影響で、村人からの詳細な聞き取り調査ができなかったこともあり、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様に、能登における真宗民俗の調査の続きを継続する。 また、真宗地域の無墓制・墓上植樹の報告のあった地区を整理し、現状を把握する。 その一方で、昨年度に考察する予定だった遺骨を祖廟(本山)に納骨する儀礼がどのような歴史的背景のもとで、地方に教化・流布されたのか、本山納骨の成立過程と真宗門徒にとって本山に納骨することがどのような意味を持つのか、それらの点を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
2022度までは、コロナ禍の影響で、フィールドワークが思うように進まなかった。祭礼行事には参加できたが、村人(話者)との聞き取り調査は、断念しなければならない場合もあり、予定の使用額に至らなかった。 次年度は、村人との聞き取り調査を中心に真宗民俗の実態を調査する。また、必要な文献史料の蒐集にあたり、昨年度分の残金を使用し研究成果をまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)