2022 Fiscal Year Research-status Report
『法華験記』の思想的研究―在俗者教化と東アジア法華経信仰への位置付け―
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20K12830
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
市岡 聡 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 研究員 (80788795)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地方における仏教信仰 / 畿内周辺における仏教信仰 / 在俗者の神仏に対する信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
5月に新潟県及び長野県の調査を実施。5月4日に五智国分寺、居多神社、親鸞上人上陸地、安寿姫と厨子王供養塔、琴平神社、高田城跡、上越市埋蔵文化財センター、上杉神社、5月5日に国上寺、弥彦神社、5月6日に乙宝寺、胎内観音、5月7日に西光寺(長野県)を調査した。本調査の実施により、主に新潟県及び長野県における信仰に関する知見を得ることができた。6月に岐阜県飛騨地方の調査を実施。6月26日に千光寺、円空仏寺宝館、飛騨国分寺、桜山八幡宮、27日に飛騨一宮水無神社を調査した。本調査の実施により、岐阜県北部における信仰に関する知見を得ることができた。9月に富山県、福岡県及び大分県の調査を実施。富山県の調査は、9月3日に報恩寺、西光寺、9月4日に射水神社、二上射水神社、養老寺慈尊院、気多神社・大伴神社、越中国分寺跡、庄川水記念公園、西蓮寺、9月5日に徳蓮寺、親鸞聖人堂、射水市新湊博物館、専念寺を調査した、本調査の実施により、富山県における信仰に関する知見を得ることができた。九州の調査は、9月27日に警固神社、9月28日に大宰府政庁跡、大宰府展示館、観世音寺、観世音寺宝蔵、太宰府天満宮、竈門神社、六所宝塔跡、日田祇園会館、八坂神社、9月29日に英彦山神宮奉幣殿、同下宮、山伏文化財室、9月30日に両子寺、文殊仙寺、国東市歴史体験学習館、弥生のムラ安国寺集落遺跡公園、10月1日に香春町歴史資料館、香春神社、大岩弘法院摩崖仏を調査した、本調査の実施により、福岡県及び大分県における信仰に関する知見を得ることができた。12月に兵庫県及び京都府の調査を実施。12月29日に書写山圓教寺、12月30日に斑鳩寺、鵤荘ぼう示石、一乗寺、12月31日に寂光院、三千院、永福寺、永観堂、1月1日に六波羅蜜寺の調査を実施した。本調査の実施により、播磨及び畿内の信仰に関する知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内調査については、コロナウイルス蔓延が収束してきたことから、前年度にはできなかった遠方への調査が可能となり、地方寺院や地方霊山に関する調査は前進した。他方、依然として海外渡航にはコロナウイルス蔓延による制限があったことから、中国での調査が困難な状況にあった。したがって、進捗状況は上記区分にあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響による中国国内での調査は、依然として厳しい状況にあることに変わりはない。そのような状況下にあるので、中国に関する調査は、国内での文献調査を引き続き実施する。それとともに令和5年度から、中国における法華経信仰の知見を広げるため、唐代の法華霊験記である『法華伝記』の講読会を開催し、中国における法華経信仰と在俗者教化に対する理解を深めたいと考えている。 日本での調査は、霊山院に関する調査及び『法華験記』に登場する地方寺院と地方霊山について調査を行ない、比叡山の在俗者教化の思想と、『法華験記』から見る地方での在俗者教化の思想に関する考察を行なっていきたい。
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Causes of Carryover |
令和4年度の収支において次年度使用額が生じた理由は、令和3年度に使用する予定だった中国渡航費用の不執行が最大の要因である。 令和5年度は、新型コロナの感染法上の位置付けが第2類から第5類に変更されるとはいえ、中国へ渡航して調査することには感染リスク等の障害が依然としてある。また、中国で調査活動をするには、昨今懸念すべきこともがあることから、中国の信仰に関する調査は国内における文献史料調査に重点を置かざるを得ないと考えている。他方、新型コロナの感染法上の位置付けの変更により、令和5年度に実施する国内調査に対する障害はなくなるので、地方寺院や地方霊山への調査及び霊山院を中心とする比叡山の実地調査及び文献調査を積極的に実施していきたい。
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