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2020 Fiscal Year Research-status Report

アクシオン・フランセーズとキリスト教知識人―宗教思想を通じた政治思想の再解釈

Research Project

Project/Area Number 20K12837
Research InstitutionMorioka College

Principal Investigator

西村 晶絵  盛岡大学, 文学部, 助教 (40843800)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsキリスト教知識人 / シャルル・モーラス / アクシオン・フランセーズ / アンドレ・ジッド
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ドレフュス事件の起こった1890年代半ばから、アクション・フランセーズ(AF)が衰退する1930年代初頭に関し、AF、カトリック系保守、プロテスタント系の作家・思想家たちのキリスト教思想と政治思想の連関を検討し、それをもとに彼ら相互の関係の特徴を解き明かそうとするものである。2020年度は、新型コロナウィルス感染症の流行により、フランスでの資料収集を行えなかったため、「研究実施計画」に記載した年度ごとの内容の順序を多少入れ替えて研究を遂行した。具体的には、国内での資料入手が可能なAFのモーラスとプロテスタントのジッド関連の文献を主な分析対象とし、AFとプロテスタントの知識人の間に認められる特異な関係性を明らかにすることを試みた。
モーラスに関しては、反プロテスタント思想に特徴づけられる彼の政治的・宗教的立場がいかなる性質ものであるのかを著作の記述から精査した。その結果、モーラスは王政とカトリックをフランスの伝統と価値づける一方で、革命以降の共和政と宗教改革以降のキリスト教を国外からもたらされた悪しき要素と論じることで、カトリックや政治的保守層からの支持獲得に成功していたことを確認できた。
ジッドに関しては、プロテスタントの彼がなぜモーラスに接近したのかという問いを探った。ジッドの側から示されたモーラスやAFを巡る記述の内容を精査し、ジッドにおいては文芸批評家としてのモーラスへの評価が、政治的接近の重要な契機となっていたことを明らかにした。さらに、次第に明るみになる両者の政治的・宗教的な思想の懸隔が、のちの決別へとつながるっていることを明示した。
上記の研究成果は、論文一件を通じて公にした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ感染症により、渡航ができず資料収集に遅延が生じたこと、また図書館へのアクセスや大学施設への立ち入りなどに制限がかかった時期があり、国内に存在する文献・資料の閲覧にも影響があったことなどから、予定通り研究を遂行することは困難であった。だが、実施計画の順番を見直し、入手可能な文献から順次分析を進めるよう努めることで、最終的には進捗の遅れを概ねリカバーした。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、当初の研究実施計画通り、カトリック系保守の知識人としてクローデルとマリタンの政治的立場の特徴を、彼らの宗教思想との連関において明らかにする。可能であれば、フランスでの資料収集を行うが、引き続き渡航が難しい場合には、国内で入手可能な資料やフランス国立図書館の複写サービスを利用することで、AFとカトリック系保守の知識人たちの関係性の特質の解明に努める。

Causes of Carryover

新型コロナウィルス感染症のため、予定していたフランスでの文献調査が行えず、旅費として計上していた金額が残った。
この残額は、2021年度の請求金額と合わせ、フランス国立図書館からの複写費用、文献の購入費用に充てる。なお、covid-19を巡る社会状況が変化した際には、現地での文献収集・調査に充当する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] アンドレ・ジッドとシャルル・モーラスー接近と離反の具体的様相ー2021

    • Author(s)
      西村晶絵
    • Journal Title

      真宗総合研究所研究紀要

      Volume: 38 Pages: 39-52

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-12-27  

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