2021 Fiscal Year Research-status Report
A Multifaceted Study of the Expressions and Functions of Socio-Political Satires in Operettas in German-Speaking Areas during the Interwar Period
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20K12842
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 佐和子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (90705435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オペレッタ / モダニズム / ジャック・オッフェンバック / ヨハン・シュトラウスII世 / カール・クラウス / ジークフリート・クラカウアー / クルト・ヴァイル / ゲオルク・カイザー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はオペレッタから演劇や映画等へのジャンルを超えた影響について研究を進めた。歌と芝居と舞踊から成るオペレッタは、ジャンルそれ自体が領域越境的な性格を持つ。す なわち、演劇・オペラ・映画・バレエといった隣接する視聴覚表象・身体文化との相互交流 がきわめて盛んな大衆娯楽ジャンルである。さらにカール・クラウスやジークフリート・ク ラカウアー、クルト・ヴァイル、ゲオルク・カイザーといった批評家や創作者がオペレッタ に多大な関心を寄せていたように、オペレッタには「高級文化/大衆文化」および「モダニ ズム/大衆娯楽」の分断を崩すような豊かな相関関係が見出された。今年度は、舞台芸術・視聴覚文化の研究領野において、散発的に遂行されてきたオペレッタに関わる研究成果を取り入れ、オペレッタのジャンル横断的な創造の協働性を明らかにすることに従事した。 他方、今年度も前年度に引き続きコロナ禍により当初計画していた海外出張が不可能だったため、現地アーカイブ調査に基づく研究は来年度以降に持ち越した。代わりに、フランスにおけるオペレッタとウィーンにおけるオペレッタの比較研究を行い、諷刺表現の差異について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたオーストリア・フィルム・アーカイヴおよびドイチェ・キネマテークにおける関連映画の視聴は、コロナ禍により実現することができなかった。ただし、1920-30年代における、映画俳優が出演したオペレッタ映画のDVDを可能な限り収集し、それらを活用してある程度研究を進めることができた。映画監督が手がけたオペレッタの演出に関する資料分析や、演劇界で活躍するスタッフが担当したセットや衣装画についての資料収集は現地での調査が待たれる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要および現在までの進捗状況に記載したように、コロナ禍により当初の研究計画の変更を迫られている。国際会議に関しては、今年度はオンラインで開催されたものと現地開催のものと二種類が混在したため、後者については参加が叶わなかった。現地で直接関係者と対面してネットワークを広げることは実質的には引き続き困難な状況である。また、デジタル・アーカイブを活用することで、ある程度は網羅的な資料収集ができるとはいえ、本研究課題に関しては海外における現地アーカイブ調査とそれに基づく成果発表が当初の研究計画通り実現できないこと、海外におけるオペレッタの実際の上演を検証できないことは大きな障壁であり、予算に関して大幅な繰越をした。研究成果の発表方法も含めた研究計画の変更や研究機関の延長を検討している。 ポスト・コロナ期において実施可能な海外調査研究の下地となる基礎研究を進めておく。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要等に記載したように、コロナ禍により当初の研究計画の変更を迫られた。国際会議に関しては、今年度はオンラインで開催されたものと現地開催のものと二種類が混在したため、後者については参加が叶わなかった。現地で直接関係者と対面してネットワークを広げることは実質的には引き続き困難な状況である。また、デジタル・アーカイブを活用することで、ある程度は網羅的な資料収集ができるとはいえ、本研究課題に関しては海外における現地アーカイブ調査とそれに基づく成果発表が当初の研究計画通り実現できないこと、海外におけるオペレッタの実際の上演を検証できないことは大きな障壁であり、予算に関して大幅な繰越をした。 次年度において海外出張の可能性を見据えつつ、日本において実施可能な研究課題に取り組み、必要な資料収集を継続しつつ、国内の関連学会や上演・シンポジウム等が対面で行われる場合には可能な範囲で国内出張を行い、コロナ以後の海外調査および成果発表の下地となる基礎研究を進めておく。
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