2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Ballet in National/Popular Theater in Western Europe at Turn-of-the-century
| Project/Area Number |
20K12848
|
|---|
| Research Institution | Japan Women's University |
|---|
Principal Investigator |
山田 小夜歌 日本女子大学, 家政学部, 助教 (40825204)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | ヴァラエティ劇場 / ミュージックホール / 歌劇場 / 劇場文化 / ミラノ・スカラ座 / ロンドン / バレエ |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
多種多様な劇場が乱立した19世紀後半～20世紀初頭の欧州では、貴族や上級ブルジョワ向けの「大劇場」に限らず、一般市民に向けて主に娯楽を提供するミュージックホールや演芸場などの「大衆劇場」がバレエ上演の舞台となった。とりわけ、当時最大級の劇場娯楽街として栄えたロンドンのウェストエンドにあったヴァラエティ劇場は、欧州内外からダンサーや振付家を集め、上演演目の中核に据えたバレエ作品が広範な観客層から支持を獲得していた。ヴァラエティ劇場のバレエの中心的役割を担った振付家やダンサーは、ミラノ・スカラ座出身のイタリア人が最も多く、中にはパリ・オペラ座など大歌劇場で主演を務めた舞踊家も含まれるなど、大衆劇場のバレエとはいえ、その水準は大劇場にも肉薄していた。またヴァラエティ劇場のバレエ作品には、スカラ座ほかイタリア国内の大劇場で初演・再演された既存作品のアダプテーションと思われるものが多数ある一方で、ヴァラエティ劇場で制作されたバレエ作品がスカラ座等の大劇場に逆輸入されるケースもあり、双方には動的な影響関係があったことが窺える。
2020年度は劇場間における舞踊家と作品の具体的な流動実態を調査・検証するため、とくにミラノ・スカラ座とロンドンのヴァラエティ劇場に関する一次資料の基礎調査を行う予定でいたが、新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより国内外問わず資料所蔵施設への訪問調査が実現できなかった。そこで本年度は、インターネットなどを通して収集・閲覧可能な資料と手元にある資料をもとに、①ヴァラエティ劇場のうちアルハンブラ劇場の上演演目と振付家、演者などを一覧表化して整理し、とくにイタリアバレエと関連があると考えられるものを抽出した。②スカラ座のバレエ上演記録の整理を行った。
ただし、①②いずれも今年度収集が叶った資料が限定的なため、次年度以降も引き続き調査・検討を進めていく予定である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上に述べたとおり、新型コロナウイルスの影響により国内外での一次資料調査が実施不可能となったため、研究推進の方向性の変更を余儀なくされた。オンラインアーカイブやデジタルコレクションを用いて関連資料を探索し、所蔵先と直接コンタクトを取って資料提供を依頼する方法で調査を継続したものの、コロナ禍で平時以上にやり取りに時間を要したこと、また申請者の他業務が増大し資料の読み込みや分析に十分な時間を費やすことができなかったことにより、研究が予定よりもかなり遅れてしまった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
まずは本研究に不可欠な一次資料収集のため、今年度実現できなかった海外調査の実施を目指す。とはいえ現段階では訪問調査の実施可否の先行きが見通せない状況にあるため、引き続き調査機関とコンタクトを取って遠隔での資料調査の実施をはかる。とくに本年度終盤にはアルハンブラ劇場関係資料を多数所蔵するブリストル大学のシアター・コレクションが再開し、少しずつ資料提供が受けられるようになってきている。手元にあるものも含めて資料を読み込み、研究実蹟の概要にあげた①②の課題を精力的に進めていきたい。
|
| Causes of Carryover |
上述したように、2020年度に実施予定であった史資料調査のための施設訪問が不可能となったため、旅費と人件費・謝金（外国語資料翻訳）が未使用となった。この分は、次年度に状況が許せば海外調査実施のための旅費として、また海外からの資料取り寄せ・複写費用、資料の翻訳費用等に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)
