2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12858
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 慧彦 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (20788278)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金銅仏 / 鋳造 / 石膏鋳型 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋳造実験を通じて造形や技術への理解を深めることを目的に、昨年度に制作した仏像(半跏思惟像)の蜜蝋製の模型(原型)の鋳造を行った。今回の鋳造では、石膏鋳型を用いた。石膏鋳型によるブロンズ鋳造は、近代以降の比較的新しい技術といえるが、鋳造の参考事例としてブロンズのバリや玉がね、鬆、ヒケなどの鋳造欠陥の観察や、鋳肌、内部の構造の状態を観察し、ブロンズ鋳造技術の理解を深めた。本年度には、このブロンズ模型を用いたブロンズの鋳かけ実験を行う予定であったが、個人の技術的な未熟と、材料(真土)の準備が遅れたことから、次年度に持ち越す。鋳かけ実験では、像内に残された鉄芯との関係に注目し金銅仏の制作を進めたい。 像の様式や制作技法研究を目的とした作例の実地調査は、新型コロナの影響にて延期した。このため、古代の仏教美術に関連する資料を用いて実験的に研究を進めることとした。特に東京大学総合研究博物館小石川分館に所蔵されている建築史家の藤島亥治郎氏が、研究・調査にて収集した資料の中には、本研究で調査対象とした韓国・慶州の仏教遺跡、作例について、興味深い写真資料を含むことがわかった。同資料群の中核は、建築史学資料であるが、美術史学や、文化財保存の記録としても重要な学術的情報を含むものである。実地調査の予備的な調査として、同資料の整理と研究に関連する写真のスキャン作業を実施した。このデータは、順次、東京大学総合研究博物館のデータベースにて公開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響にて、外部で調査が思うように行えなかったため、本年度より関連資料を用いた研究を取り入れた。 実験作業は技術的な未熟により予定より遅れている。次年度の鋳造実験を充実させるために、実験の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、整理した資料の公開と、鋳造実験、実地調査を行いたい。鋳造実験では、真土を利用した鋳型による鋳造から、鋳型やブロンズの特性を確認したい。 実地調査(海外)については、新型コロナの状況をみて可能な範囲で行いたい。状況によっては、代替として鋳造実験の追加を検討している。また、今年度より取り入れた資料調査は、研究を充実させるものとして継続する。
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Causes of Carryover |
鋳造実験の遅れと、新型コロナによって実地調査を延期したため、次年度使用額が生じた。なお、実地調査に関しては、できる限り行いたいが、実験の追加や関連資料の調査などでの代替も検討している。
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