2023 Fiscal Year Annual Research Report
Kinetism - Soviet Media Art
Project/Area Number |
20K12862
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 彩 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20580707)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キネチズム / キネティックアート / ソヴィエト非公式芸術 / カバコフ / インファンテ / コレイチュク / ヌスベルク / メディア・アート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は夏季にテッサロニキにて代表的なソヴィエト美術の国外コレクションであるコスタキ・コレクションの調査を行い、作品の分析、資料用の写真撮影などを行った。またブダぺストのヴァザルリ美術館およびハンガリー国立美術館、プラハの国立近代美術館で、第二次世界大戦後の中東欧の現代美術の調査を行った。 研究成果として、今年度は、「ソヴィエト非公式芸術のあそび:ゲルロヴィナとインファンテ」(『コモンズ』第3号、東京工業大学「未来の人類研究センター」)および「ロシア・ソヴィエトのもうひとつの抵抗のかたち─カバコフと地下芸術の文化」(webゲンロン、2024年5月1日)の二つのソヴィエト非公式芸術についての論考を発表した。 研究期間中に新型コロナウィルスの流行およびそれに続くウクライナ戦争が勃発したために、当初予定していたロシア国内での調査は不可能となった。その代わりに同時代にキネティック・アートおよびオプ・アートが興隆し、ソヴィエトの美術とも関連のあった中東欧の戦後美術の調査を行った。また、同時代にキネチズムとも共通する動向を示したものとして、大阪万博での太陽の塔および具体美術協会による展示物の調査を行った。ラトガース大学での調査は予定通り行うことができた。 研究期間中に発表されたキネチズムそのものを論じた論文は、「宇宙開発時代のメディア・アート:ソヴィエト連邦のキネチズム」(『表象』、第15号)のみだったが、今年度の研究成果である上記二つの論考に加え、「闘争と逃走 ソヴィエト時代の反体制的な芸術をふりかえる」(『チェマダン 特別号 ウクライナ侵攻とロシアの現在』2022年)および「カバコフの白」(『コモンズ』第2号、東京工業大学未来の人類研究センター、2023年)の二つのソヴィエと非公式芸術についての論考を発表した。
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