2021 Fiscal Year Research-status Report
日本美術における鶴に見る和漢の意識ー中世の涅槃図を中心にー
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20K12867
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
藤元 晶子 玉川大学, 教育学部, 非常勤講師 (40724935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 涅槃図 / 鶴 / 日本美術 / タンチョウ / マナヅル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度も前年度に引き続き、研究期間の大半において、新型コロナウィルス拡大に伴う移動制限があったため、当初予定していた調査がほぼ実施できなかった。調査には、長距離の移動のみならず、長時間・直接の人的接触を伴うためである。それを補うため、展覧会に出陳されている涅槃図の作例、寺院の法要の際に掛けられた涅槃図を可能な限り実見した。 当該年度では、複製・写真パネルを含め、64作品の涅槃図を見ることができた。主な作例は以下の通り。国宝 和歌山・金剛峯寺本(平安時代)、重要文化財 奈良・新薬師寺本(平安時代)、重要文化財 岐阜・汾陽寺本(平安時代)、重要文化財 愛知・甚目寺本(鎌倉時代)、重要文化財 和歌山・浄教寺本(鎌倉時代)、重要文化財 三重・成願寺本(1363年頃)重要文化財 京都・金輪寺本 (南北朝時代/元時代)、重要文化財 狩野松栄筆 京都・大徳寺本(1563年)重要文化財 長谷川等伯筆 京都・本法寺本(1599年)。 本研究開始以前からの成果も含め、管見の限り、鶴が描かれた最も早い涅槃図の作例は、平安時代に制作された重要文化財 岐阜・汾陽寺本で、鶴の種はマナヅルであった。これまでの調査結果からは、鎌倉時代前半までに制作された涅槃図に登場する鶴は、すべてマナヅルであり、タンチョウが登場するのは、早くとも13世紀半ばを過ぎてからであるといえる。タンチョウ登場の早期の例では、頭部の赤い部分の位置など、実物と異なる描写が多く見られ、外見に関する知識が十分に普及していなかった可能性が示唆される。その一方で、17世紀以降の作例では、タンチョウが大半を占めることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス拡大に伴う緊急事態宣言・蔓延防止等の移動制限により、当初予定していた作品調査を行うことがほぼ叶わず、遅れていると判断せざるを得ない状況にある。この1年、居住する首都圏が感染拡大地域とされ続け、調査依頼を出して調査そのものは可能とされても、実施時期については終息を待ってからとされることが多かった。 そのため、当該年度に実見できた作例は、展覧会等に出陳されたものが大半で、本研究に不可欠な作品の調査は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
美術史研究において、作品の調査・熟覧は不可欠である。これまで2か年度は新型コロナウィルス拡大による移動制限により、思うように調査を進められなかったため、当初予定の研究期間を1年延長することとした。令和4年度に調査希望作品の熟覧を進め、研究の総括を目指す。
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Causes of Carryover |
過去2か年度において、大部分の期間において新型コロナウィルス感染拡大による移動制限が行わた関係で、調査・熟覧をほぼ行うことが出来なかった。本研究課題においては、予算の大部分を旅費が占めていたため、次年度使用額が生じてしまった。 令和4年度では、全国各地での調査・熟覧を進める予定である。
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