2022 Fiscal Year Research-status Report
日本の抽象彫刻をめぐる批評基準の研究ー近代美術館設立と展覧会の再考から
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20K12874
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Research Institution | The Museum of Modern Art, Kamakura and Hayama |
Principal Investigator |
菊川 亜騎 神奈川県立近代美術館, その他部局等, 研究員 (50826310)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抽象美術 / 戦後美術 / 彫刻 / 美術批評 / 近代美術館 / 戦後日本美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は近代美術館の展覧会と企画に関わった美術批評家の言説をひもとき、彫刻における抽象作品への評価と抽象概念への理解がいかに築かれていったか、1950年代を中心に検証するものである。 令和4年は展覧会に関する調査研究と並行し、1950年代に作風を大きく変えた彫刻家、その制作について視野を広げ、彼らの戦前/戦後での変化、また作品に対する批評の変化を具体的に調査・検討することから研究全体の深化をめざした。 抽象傾向では引き続き堀内正和について、加えて堀内と同じく戦後京都に移住し陶芸との出会いのなかで彫刻家へ変貌していった清水九兵衞について調査した。 具象傾向では昨年に引き続き、戦後の具象彫刻を先導した新制作派協会(現新制作協会)について、特に佐藤忠良に焦点をあて、社会主義リアリズム、フェミニズムの観点から調査を行った。 また表現方法(具象/抽象)を串刺しにする視点として、素材の問題を設定した。土の表現(塑造、陶彫刻)に注目した。国土を象徴する土という素材に戦前/戦後で投影された意味を批評家の言説および作家の表現事例から検討した。 上記について論文にまとめ、外部で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料整理、調査から理論構築を進め、研究の一部を公共性の高い研究成果の公表に結び付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学術的考察を行うために引き続き美術館図書館、国会図書館などで資料収集し、理論構築を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度に神奈川県立近代美術館で「イメージと記号 1960年代の美術を読みなおす」展の開催が決定したため、本展に当該研究の成果を反映し、展覧会という形でより広く研究を紹介するため研究費を有効的に活用したいと考えている。展覧会に反映させる調査費、撮影費などに使用する予定である。
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