2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the paintings of the Anhui regions in the Ming and Qing Dynasties
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20K12876
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Research Institution | The Museum Yamato Bunkakan |
Principal Investigator |
都甲 さやか 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部員 (80706755)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 美術史 / 東洋史 / 中国絵画史 / 文人画 / 安徽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、17世紀に安徽地方で確立した「安徽派」とよばれる画派について、①画風の選択意図、②人的交流、③郷里に対する顕彰意識という3つの側面から主に考察することで、その形成と発展の実相をさぐることにある。それによって、美術史における普遍的な課題である、絵画を生み出す「場」そのものの重要性について、新たな視点から事例を提示することができると考える。 当該年度は、当初の予定通り、本研究に関連する展覧会「特別展 墨の天地-中国 安徽地方の美術-」(於大和文華館、会期2020年10月10日~11月15日、総入場者数5.026名)を開催した。本展では、初公開作品も含む安徽派の絵画・文献・工芸資料78件を一堂に展示すると共に、成果をとりまとめた展覧会図録を出版した。安徽地方の美術に焦点をあてた学術的な展覧会は、世界的に見ても39年ぶりとなり、これまで蓄積された研究を整理するとともに、現時点における最新の知見を公に提示することができたと考える。 明末以降の江南諸都市では、それぞれの地方様式が形成されたが、本成果によって、安徽という一地方における形成発展の実相が、実作品を通すことで更に明らかなものとなった。それによって、他都市との比較検討をよりスムーズに行うことができ、明末の各地方様式に関する研究が促されることが期待される。 なお、コロナ禍のために観覧がかなわなかった国外の研究者のもとには、図録を送付することで情報の共有をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題に関して重要とみなせる作品(国内所蔵)の多くを集めた展覧会「特別展 墨の天地-中国 安徽地方の美術-」(於大和文華館、会期2020年10月10日~11月15日)を開催した。それに伴って、研究をとりまとめた展覧会図録の刊行、本課題に関して研究者達と意見交換を行い、今後研究を発展させるための貴重な資を得ることができた。また展示や講演会などを通して、一般の方々にも安徽地方の美術や文化を広く伝えることができた。 なおコロナ禍のため、当初予定していた国際シンポジウムは延期となったが、2021年度に開催予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年開催の「特別展 墨の天地-中国 安徽地方の美術-」を通して得た成果をもとにしつつ、引き続き文献史料と絵画資料の収集、国内外の研究者との意見交換をおこない、学会発表や研究論文として公に成果を発信していく。
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Research Products
(5 results)