2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on Art and Social Inclusion through An Interaction Theory Approach
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20K12891
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長津 結一郎 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (00709751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会包摂 / ソーシャル・インクルージョン / 芸術の社会的価値 / 相互行為分析 / 演劇ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会包摂をかかげ行われる芸術文化活動の実践が、福祉や教育の分野に対してどのように実際にアプローチしているのか、ミクロな視点から構造的にせまることを目的としている。本年度は、芸術と社会包摂に関する状況整理と理論化に取り組んだ。国内での芸術と社会包摂に関する政策的動向とその課題をとりまとめて国際学会で成果発表した。その中では、日本の障害者芸術をめぐる振興策が厚労省行政(QOLの向上)と文化庁行政(芸術の社会的価値の活用)という2つのセクターにより行われており、目的の違いから葛藤が生まれていることを指摘した。その上で、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の制定前後のプロセスを見ることで、今後の芸術に関する社会包摂政策の立案プロセスへの含意を示すことができた。現在この成果を踏まえ、論文投稿の準備に取り掛かっている。また、芸術と社会包摂に関する事業の評価のあり方について国内学会発表を行ったほか、ここで得られた知見を反映されて書籍の分担執筆を行った。これらの成果を踏まえた論文投稿の準備に取り掛かっている。加えて、相互行為分析による身体表現ワークショップ分析も試行的に実施した。具体的には、ワークショップの現場に初めて参加する人々と、すでにワークショップの参加に十分慣れている人々との接触を通じて何が起こっているのかを観察することができた。次年度以降の分析の視座を得ることができたため、今後は論文投稿等を通じて成果を公表していくことを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行によりフィールド先であるワークショップ自体の開催が危ぶまれていたが、なんとか回数を少なくして開催することができたため、研究全体としては概ね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度までの成果を論文として公表することを目指すとともに、海外へも研究成果を発信していく予定である。またワークショップの観察も継続的に実施していく。
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Causes of Carryover |
学会発表等で計上していた旅費が社会的状況により使用できなかった。幸い、映像分析に資する物品の購入を行うなどしてある程度研究に資する予算執行を行ったが、予定していたすべての金額を執行するには至らなかった。次年度については社会的状況を鑑みつつ、今年度叶わなかった他事例の視察などに充てたい。
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Research Products
(4 results)