2022 Fiscal Year Research-status Report
Art Festivals'Outcome and Impact on Regional Development: A Qualitative Study of Medium- to Long-Term Effects, Processes, and Conditions
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20K12892
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 隆之 大阪公立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (00771859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 芸術祭 / トリエンナーレ / アートプロジェクト / 地域づくり / ドクメンタ / マニュフェスタ / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の状況も芳しくなく、国内の芸術祭のリサーチがままならない状況が継続した。そこで、2023年度も2022年度に引き続き、国外の芸術祭のリサーチを通して、国内の芸術祭の地域づくりに関する新たな知見を得る研究を展開し、地域づくりに重きをおく国内芸術祭の開催意義を、国外との比較で相対化をこころみた。具体的には、2022年度に、地域づくり・都市変革を意識したと考えられる国際的な2つの芸術祭をリサーチした。 「ドクメンタ15」では、インドネシアのアーティスト・コレクティブ「ルアン・ルパ」がディレクターとなり、グローバルサウスで、社会課題解決に取り組むアーティスト・コレクティブを多く招聘した。くわえて、工業地域と住宅地域が入り混じった東地区への展開にも挑戦し、開催地域の文脈の歴史との対話が見られた。ところが、その一方で、「反ユダヤ主義的だ」とある展示作品が撤去されるという「検閲」がなされ、ドクメンタの開催自体、かつ、存続すら揺るがす事態が起きた。「ドクメンタ15」に関して、ドイツでは客観的な議論が困難になっている。だからこそ、距離を置いたアジア、とくに日本で分析する意義があり、とくに、地域づくりについては、国内の芸術祭の地域づくりの知見が集積した日本で、新たな知見が得られると考える。 一方、「マニュフェスタ14」は、コソボで開催された。コソボは、近時、新自由主義的政策が取られ、首都プリンシュティナでは、貧富の差が拡大し、独自の都市景観が失われようとしている。そうしたなか、1回の芸術祭で公共空間を回復し、都市を変革できるかという挑戦をしていた。1回の芸術祭で都市変革に直接アプローチする手法は、国内事例では例がなく、検証する意義は高いと考えられる。 2022年度は、両事例ともに、基礎的データ収集に終わったが、2023年以降検証を継続したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外の芸術祭に焦点を当て、海外の事例と比較することで、国内の芸術祭の地域づくりのあり方、今後の戦略を明らかにしようとしている点は、概ね順調に進展している、一方で、国内の芸術祭については、コロナ禍の2020年度から2021年度にかけ、研究対象とする芸術祭が中止、延期、規模縮小の影響を受け、とくに地域づくりに関する研究が大幅に遅れている。全体として、やや遅れているという評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に着手した海外の2事例については、2023年度も継続して検証を行う。国内の芸術祭については、パンデミックを経て、芸術祭を契機として、自立した形で10年以上継続し、地域に関わるいくつかのプロジェクトが見られる。そうしたプロジェクトに焦点を当て、ソーシャルキャピタル形成の有無などを学術的に検証したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が改善し、物価高などの影響を考慮して、余裕をもって宿泊費等をみつもっていたが、単価が安かったり、急な別件の職務が入り、豊岡出張の宿泊日を当初より減らしたりしたことで、次年度使用額が生じた。 引き続き、物価高などで宿泊費の高騰が続いており、次年度の旅費にあてたい。
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Research Products
(2 results)