2023 Fiscal Year Research-status Report
The Singing Voice of Tamaki Miura: A Study of the Vocal Style of a Japanese Opera Singer in the Early Twentieth Century
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20K12896
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
早坂 牧子 東京音楽大学, 音楽学部, 准教授 (10807126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 三浦環 / シューベルト / 冬の旅 / 録音分析 / 洋楽史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に引き続き国内外の三浦環関連資料を収集すると共に、三浦によるシューベルト《冬の旅》の録音(NHKアーカイブス所蔵)と訳詞(玉川大学教育博物館所蔵)の調査結果を「三浦環の《冬の旅》(2) : 訳詞と1946年録音に見る演奏の覚書」(『東京音楽大学研究紀要』第47集、2024年2月、pp. 43-58)として公表した。オンラインで行われた歌曲研究の国際フォーラム Art Song: A Global Force (2024年3月1日)では、"Reviving History: Tamaki Miura’s Winterreise and the Reception of Art Song Performance in 20th-Century Japan" と題し、シューベルト《冬の旅》の日本における上演史と、その文脈における三浦の演奏の意味、三浦の訳詞と演奏の特徴について、実演を交え発表した。 またこれまでの研究成果発表の取り組みとして、三浦の《冬の旅》の歌唱再現演奏会「三浦環のシューベルト《冬の旅》―三浦環の訳詞と新発見の録音史料による再現演奏・語りでおくるプリマ・ドンナの人生と芸術―」の開催準備を進めた。本演奏会は、ロームミュージックファンデーションと日本音楽学会(音楽関係学術イベント開催助成金)の助成を得て、2024年11月29日(金)、三浦環がかつてオペラ・デビューを果たした旧東京音楽大学奏楽堂にて実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、特に受容と録音分析に着目して研究を進めていたが、2022年以降、山中湖村教育委員会における三浦環関連事業と関わり、情報のすりあわせを行ってきたことで、三浦に関する調査全般の作業が一気に進んだ。また、2024年4月には山中湖村文化芸術アドバイザーとして三浦環所用ピアノを用いたコンサートやふれ合いイベントの企画に携わることになったこと、2021年に発見した《冬の旅》の録音に基づく演奏会の実施が決まったことなど、研究成果を一般に還元する機会が予想を上回る形で増えることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度に引き続き《冬の旅》第17~24曲までをまとめた紀要論文を投稿予定である。また、三浦環の歌唱と録音についての一般向け講演を、2024年8月24日(土)山中湖村徳富蘇峰館にて予定している。三浦の演奏史全般と受容史については、国内外のデータベースで未確認の資料が大量にある他、三浦環研究で著名な田辺久之氏が遺された調査データが未整理の状態で残っている。こうした資料の分析を続け、現在三浦の演奏史データベース構築に取り組んでいる山中湖村教育委員会とも連携しながら、情報の整理に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
本研究は2023年度が終了年度の予定であったが、2024年の三浦環生誕140周年にあたり、当初より研究成果発表の機会が増加する見込みとなったことから、研究期間を一年延長し、2024年度に予算を残す形となった。残額は、必要資料の購入に加え、研究成果発表イベント協力者への謝金、調査・打合せに際する交通費、印刷代に使用する。
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Remarks |
三浦環を紹介するホームページ文書執筆に協力した(執筆担当箇所:「三浦環について」、「三浦環と山中湖」)。
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Research Products
(3 results)