2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on Reasons Why Thalberg's Works are Unrecognized
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20K12901
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
方丈 響子 中村学園大学, 教育学部, 助手 (80846345)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タールベルク / リスト / ピアノ変奏曲 / タールベルクのハープ / 三本腕 / モーゼ幻想曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、国内の図書館や音楽大学にて文献や楽譜に関する調査を行ったほか、ジギスモント・タールベルクが1857年に作曲した《「埴生の宿」による変奏曲 作品72》及び《「夏の名残りのばら」による変奏曲 作品73》に焦点を当て、自身の演奏経験をもとに、彼の後期のピアノ変奏曲にみられる特徴や音楽的要素について考察した。その結果、着目した2つの作品は構成や作風に共通点がみられ、後期の作品は、1830年代にヴィルトオーゾピアニストとして認められるきっかけとなった彼の代表的な技法やテクニックを存分に生かしつつ、聴衆が親しみやすい作品を多く残したことがわかった。 加えて、タールベルクと同時代に活躍し、当時比較されることが多かったリストに着目し、タールベルクとリストの対決の中でも演奏され、「タールベルクのハープ」が用いられた《ロッシーニの歌劇「エジプトのモーゼ」による大幻想曲 作品33》を中心に取り上げ、リストとの関係を歴史的背景より探った。また、「タールベルクのハープ」、「三本腕」の根拠について分析及び実践的検証を行った。その結果、当作品の後半部分に「タールベルクのハープ」、「三本腕」の技法が多用されており、「三本腕」の根拠の一つが視覚的効果によるものであることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
国内外に有する楽譜や音源に関する情報収集が不十分であり、当初予定していた現地調査を計画どおり実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、文献や楽譜、音源の収集・整理を行い、タールベルクの魅力、特性を自身の演奏で伝えるためのコンサートの準備を進めるとともに、現代のタールベルクの位置づけに至った理由を探る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、調査研究が進まなかったため。次年度は、調査において必要な物品および旅費、演奏会等参加費等に支出予定。
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Remarks |
「第11回ブリランテオータニ音楽コンクール」にて、タールベルク作曲《「埴生の宿」による変奏曲 Op.72》を演奏。プロフェッショナルコース金賞受賞。
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