2020 Fiscal Year Research-status Report
リンシードオイルの加工による絵具の性質の変化とそれを効果とする描画表現の研究
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20K12902
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Research Institution | Hamamatsu Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
菅澤 薫 浜松学院大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90852682)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リンシードオイルの加工 / 制作実践 / 油絵具 / 絵具の性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リンシードオイルの加工が絵具の性質および画肌の表情に及ぼす影響について、材料科学分析と官能評価の結果を対照して考察することで、リンシードオイルの加工によって得られる油絵具の多様な表現方法の可能性を追求することを目的とする。 今年度は、実験準備期間として、材料科学分析を行う機器の選定や予備実験の期間に充てていた。予備実験では、他の研究機関にある機器を借りて、試料の作製と分析をする予定であったが、COVID-19の感染拡大が懸念される状況下で、他の研究機関の利用が難しい状況に陥った。これらの状況を踏まえ、自身の研究機関のみで遂行できる研究計画に変更するため、研究課題を整理し、機器の技術者と何度も打ち合わせを行うなど、機器の選定に重点を置いた。機器の技術者との打ち合わせでは、新しい知見や研究の助言を得ることができ、機器の事前貸し出しに応じてくれたため、予備実験を行うことができた。 次年度、購入予定の粘度計の予備実験では、リンシードオイルの加工を変えることで、絵具の流体粘度が異なることを確認した。これまでの粘度計での測定では、絵具の硬さを示すに留まっていたが、加える力だけでなく時間経過に伴い粘度が変化する試料があることを確認できた。これは、絵具を塗布するときの作業性と画面に塗布した後の絵具の形状について、客観的データとして提示できる可能性を見出せたといえる。 制作実践では、加工したリンシードオイルを一部に用いた絵画作品の制作を行い、その成果をグループ展、個展にて発表した。これまでの研究では、絵具の盛り上げの表現に焦点を置いていたが、制作実践を通して、グレーズ技法の表現の可能性を一部、見出すことができた。今後も、制作実践を重ね、目的に応じたリンシードオイルの使い分けなど制作現場へ応用できるものにするために、揮発性油の調合や顔料の分量調整、グレーズへの活用について検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月頃から日本国内において深刻化したCOVID-19による感染拡大が影響している。この為、本来であれば、イギリスへ渡航し、資料収集を行ったり、他の研究機関にある機器を借りて、さまざまな条件での試料を作製・分析したりする予定であったが、これらを遂行することが難しい状況になった。これらのことから、研究計画の見直しが余儀なくされ、その時間に費やすことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は他の研究機関にある機器を借りて、さまざまな条件での試料を作製・分析する予定であったが、COVID-19の感染拡大が懸念される状況下で、他の研究機関の利用が難しい状況に陥った。当面、感染拡大地域への移動に関しては自粛することが求められると予想される。今後の状況が見えない中、研究計画を見直し、自身の研究機関で遂行できるものに変更する必要があると判断した。 本来借りるべきであった機器ひとつひとつが高額なものになるため、研究内容を精査し、購入機器を選定した。 次年度は、コーン・プレート粘度計を購入し、コーンローターの回転の速さや計測時間等の細かな条件での測定を行うことで、筆で絵具を塗布するときに感じる動かしやすさという感覚や運筆の速度等の複雑な要因が関わる描画の実感について、客観的データとして提示できるように試みる。
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Causes of Carryover |
上述してきた通り、COVID-19の感染拡大が懸念される状況下で、他の研究機関の利用が難しい状況になり、自身の研究機関のみで遂行できる研究計画の見直しが必要になった。それに伴い、機器の選定といった備品購入の精査に時間を要した。その結果、今年度予定していた備品購入を見送り、次年度の助成金と合わせて、絵具やオイルの粘度を測るコーン・プレート粘度計を購入することにした。
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Research Products
(2 results)