2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K12904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 大士 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD) (20869234)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医学映画 / 衛生映画 / 衛生啓発 / 内務省衛生局 / 文部省 / 感染症の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も衛生映画に関する分析を進めた。2022年5月には、京都大学人文科学研究所パンデミック研究プロジェクトで、「日本における衛生映画の歴史」というタイトルの報告をおこなった。報告では、過去2年間に衛生映画に関して調べてきて、現在までにわかったことをまとめて発表した。この研究プロジェクトには、医学史・科学史に限らず、思想史・社会史・経済史など様々なバックグラウンドの研究者が参加していることもあり、これまで意識していなかった論点を多く提示していただくことができた。 2022年6月には、京都大学人文科学研究所でリサ・カートライト(望月由紀訳・長谷正人監訳)『X線と映画』書評会が開催され、「日本の医学界における映画活用の歴史」というコメントをおこなった。『X線と映画』はアメリカにおける医学映画について論じたものであったが、そこで書かれた内容と日本のケースを比較しながら報告した。また、同書の内容および翻訳者の問題提起などを受けて、自身の研究を国際的な研究の文脈に位置づける上での手がかりを得ることができた。 2023年3月には、ボストンで開催されたAssociation for Asian Studies Annual Conference において、"Health Education Film in 1920s and 1930s Japan: The Ministry of Home, Medical Professions, and Filmmakers"というタイトルの報告をおこなった。もともと、現在調査している内容は、英語の論文として学術誌に投稿を目指していたものであったが、今回、はじめてその内容について英語で報告することができた。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けて、研究者の間で感染症の歴史に対して関心が高まっており、このテーマの重要性を再認識することができた。2022年度が最終年度であるが、この英語での報告をもとに、英語の論文として出版を目指す。
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