2022 Fiscal Year Research-status Report
Patient/family-healthcare professional relationship and ethical issues in personalized genomic medicine
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20K12909
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
高島 響子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 室長 (10735749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム医療 / 患者遺伝情報 / 患者・家族—医療者関係 / ELSI / 守秘義務 / 自律尊重 / 善行 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の3年目にあたる今年度は、患者遺伝情報の家系員との共有において生じる倫理的ジレンマに関する調査ついて昨年度に収集したデータの分析を進めた。その結果、当院で過去に実施した遺伝カウンセリング症例で遺伝カウンセリング担当者が倫理的ジレンマを感じた10症例に共通する事項として、①患者や家系員にとって臨床的有用性が高い遺伝情報が得られたことと、②複数の家系員がいたことが挙げられた。さらに、各症例における患者遺伝情報の家系員との共有に関わる要素を抽出し遺伝カウンセリングのタイムラインに沿ってまとめると、「疾患・遺伝学的検査受検自体の家系員への非共有」、「患者と家系員の共有に対する意向のギャップ」、「家系員が未成年」、「性差による認識のギャップ」、「患者容体悪化または死亡による共有の実現困難」、「家系員との関係持続困難」、「遺伝的リスクと家族関係のギャップ」、「家庭内共有後の理想とのギャップ」、「サーベイランスの有効性が未確定な場合の未発症者への共有」となった。これらの要素の中でどのような倫理的ジレンマが生じたかについて医療倫理の四原則(自律尊重原則、無危害原則、善行原則、正義原則)を参照しながら分析した結果、1.血縁者への善行とその阻害要因の対立、2.血縁者の自律尊重とその阻害要因の対立、3.血縁者への善行と血縁者への無危害の対立、の3つに類型化できた。本研究は一医療機関における遺伝カウンセリング担当者及びカウンセリング症例を対象としたもので結果の偏りやばらつきはあるものの、今後、ジレンマが生じやすい症例を事前に特定し初回の遺伝カウンセリング時から可能な工夫や注意を提供する基礎資料を得ることができた。これらの分析結果を第46回遺伝カウンセリング学会学術集会にて発表した。現在、論文執筆中で次年度中の発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた調査の分析が完了し発表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果を元に、ゲノム医療の遺伝カウンセリングにおける患者遺伝情報の家系員との共有の実践に役立つ情報を提言する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響により海外学会・国内学会共にオンラインでの参加が多く旅費の支出が計画したほどは発生しなかった。次年度は海外学会にも参加する。
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Research Products
(7 results)