2020 Fiscal Year Research-status Report
悦田喜和雄の文学活動についての総合的研究―文学活動の地域的役割の探究に向けて
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20K12918
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
富塚 昌輝 中央大学, 文学部, 准教授 (80772772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悦田喜和雄 / 地域文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、徳島県を中心として活躍した作家である悦田喜和雄の文学活動を総合的に解明することを目的としている。具体的には、①悦田喜和雄の作品の調査・収集、②悦田喜和雄の直筆資料の調査、③悦田喜和雄作品の分析という三つの作業を行う。 令和2年度は、年次計画に従って、悦田喜和雄の作品の調査・収集を行った。国立国会図書館、日本近代文学館、神奈川近代文学館、調布市武者小路実篤記念館に行き、特に「新しき村」関係の資料の調査を行った。本調査の成果として、悦田喜和雄の未紹介小説作品、随筆作品数点を発見することができた。また、悦田喜和雄の「新しき村」訪問の日程や活動内容について明らかにすることができる資料も多く見つけることができた。本調査の成果については、年次計画通り令和3年度に発表する予定である。 また、令和2年度は、『徳島新聞』の調査も開始した。本年度では昭和19年から20年にかけての記事調査を行った。悦田喜和雄が『徳島新聞』に作品を発表し始めるのは、戦後になってからなので、引き続き『徳島新聞』の調査を行っていく。 令和2年度の年次計画では、悦田喜和雄の直筆資料の調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス流行の影響により、徳島での調査を行うことができなかった。しかし、徳島県立文学書道館の協力により、悦田喜和雄の佃実夫宛書簡の電子画像を入手することができた。令和2年度は書簡の翻刻と注釈の作業を行った。本調査の成果については悦田関係者との相談を行った上で、可能な範囲で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題第1年目の令和2年度は、資料の調査を中心に研究活動を行った。しかし、新型コロナウイルス流行の影響により、徳島県への出張調査を含み、多くの調査を断念せざるを得なかった。東京近郊への調査については一定程度の調査を進めることができ、令和3年度の研究成果発表につなげる見通しが立っているので概ね順調に進展していると評価できる。悦田喜和雄直筆資料の調査の側面については、研究が遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度の研究成果を研究ノートや論文として発表する予定である。特に、悦田喜和雄の「新しき村」訪問の日程や活動内容について明らかになった点と、「新しき村」関係の雑誌に掲載された悦田の未紹介作品について研究成果を発表する。また、令和2年度に引き続き『徳島新聞』の記事調査を引き続き行う。 新型コロナウイルス流行の影響がなくなり次第、令和2年度に実施できなかった徳島県への出張調査を行い、悦田喜和雄の直筆資料の調査を行う。ただし、徳島県立文学書道館等と協力しながら、可能な範囲で遠隔での調査も進める。特に、悦田の書簡についての翻刻・注釈作業を引き続き行う。 令和2年度から悦田喜和雄のご親族と連絡を取っているが、令和3年度も引き続き連絡を取って悦田に関する情報の収集に努める。また、可能な範囲で悦田関係者にも連絡を取っていきたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナウイルス流行の影響で、本研究の主軸となる徳島県への出張調査を行うことができなかった。また、地方学会への参加もできなった。そのため、旅費と出張調査関連の費用を使用することができず、次年度使用額が生じた。 令和3年度は、新型コロナウイルス流行が終息し次第、徳島県への出張調査を行う。また、令和2年度は出張調査ができなかった分、『徳島新聞』のマイクロ複写を活用した新聞記事調査を進めた。令和3年度は出張費用の一部をマイクロ資料複写費にあて、徳島県立図書館で行う予定であった調査の一部を代替的に進めることとする。
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