2021 Fiscal Year Research-status Report
悦田喜和雄の文学活動についての総合的研究―文学活動の地域的役割の探究に向けて
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20K12918
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
富塚 昌輝 中央大学, 文学部, 准教授 (80772772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悦田喜和雄 / 地域文学 / 徳島県の文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、徳島県を中心として活躍した作家である悦田喜和雄の文学活動を総合的に解明することを目的としている。具体的には、①悦田喜和雄の作品の調査・収集、②悦田喜和雄の直筆資料の調査、③悦田喜和雄作品の分析という三つの作業を行う。 令和3年度は、年次計画通り、悦田喜和雄の「新しき村」訪問の日程や活動内容に関する調査結果を、「悦田喜和雄と「新しき村」」(『中央大学国文』65号、2022年3月、83-103頁)として論文発表した。本論文では、これまで具体的には明らかになっていなかった悦田喜和雄の「新しき村」訪問の日程を、詳細に明らかにした。また、「新しき村」での悦田の活動について、農業活動と文学活動の二つの面について明らかにした。特に、これまでの研究では「新しき村」での悦田の文学活動についてはその意義が十分に認知されていなかったが、今回の調査では、悦田の未紹介作品などを複数発掘したことを含めて、悦田が「新しき村」で精力的に文学活動に取り組んでいたことを明らかにした。 また本年度は、前年に引き続き『徳島新聞』の調査を行った。昭和21年から昭和22年半ばまで、悦田喜和雄に関する記事を調査した。この調査と並行して「『徳島新聞』文学関連記事目録」の作成を行った。 徳島県立文学書道館に所蔵されている悦田喜和雄書簡については、翻刻をほぼ終えることができた。また、注釈についても文献調査で判明する範囲においては進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、年次計画通り論文発表を行った。その点は順調に進んでいると評価することができる。 ただし、新型コロナウイルスの流行により、徳島県への調査旅行を十分に行うことができなかった。そのことにより、令和3年度に実施予定であった悦田喜和雄の原稿調査を十分に進めることができなかった。また、悦田家のご遺族の方にお話をうかがうことも、断念せざるを得なかった。そのような現地調査や面談調査を行うことができなかった点で、研究がやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまでの研究で調査・収集することができた未紹介小説作品などを基礎として、悦田喜和雄の初期の文学についての作品研究を進め、研究論文として発表する予定である。特に、悦田喜和雄が投稿を行っていた『文章世界』の文学観や、「新しき村」で文学の指導を受けていた武者小路実篤の文学との関係から、悦田文学の特質を解明していく。このことにより、文学の営為がどのように地方に伝播し、地域の人の文学への意欲をかき立てたのかについて解明することができる。 また、新型コロナウイルス流行の状況を見ながら、悦田喜和雄の関係者へのインタビュー調査についても令和4年度に実施していきたい。同時に、悦田喜和雄書簡の発表方法についても相談していく予定である。加えて、徳島県立図書館や徳島県立文学書道館への集中調査旅行も行い、悦田喜和雄の書簡の確認や原稿の調査を進める予定である。 さらに『徳島新聞』の文学関連記事目録の調査も引き続き進めていく。令和4年度は昭和22年半ばから昭和25年までを目安として作業を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、前年度に引き続き新型コロナウイルス流行の影響で、徳島県等への集中的な出張調査を行うことができなかった。また、全国学会等もオンラインでの開催となるなど、開催方法の変更があった。そのため、旅費や出張調査関連の支出が少なく、次年度使用額が生じた。 令和4年度は、新型コロナウイルス流行が落ちつき次第、徳島県への集中的な出張調査を行う。また、令和3年度は出張調査費の一部をマイクロ資料複写費にあてることで、『徳島新聞』の調査を推し進めた。令和4年度においても、出張調査に関連する費用の一部をマイクロ資料複写費や、地方同人誌の購入費等にあてることで、文献調査の側面を充実させていく予定である。
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Research Products
(1 results)