2021 Fiscal Year Research-status Report
16・17世紀説話資料における「怪異説話」の継承と展開
Project/Area Number |
20K12934
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
久留島 元 京都精華大学, その他の部局, 講師 (50830444)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 怪異説話 / 近世説話 / 中世 / 古浄瑠璃 / 天狗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、16・17世紀における説話関連資料を対象とした「怪異説話」の整理と分析、体系化である。具体的には、、中世文学研究においても近世文学研究においても過渡 的と見なされて分析が遅れてきた絵巻、古浄瑠璃正本、戦国期説話集、笑話集などを対象として研究を進める。 本年度は引きつづき新型コロナウィルス感染症拡大の影響により実地調査を断念せざるをえなかった。そのなかで八木智生氏の協力を得て、野村美術館蔵『是害房絵』の翻刻作業を進めた。本資料については次年度に再調査を行い、改めて成果を公開する予定である。 今年度の成果として、①「伏見城 落城の記憶と血天井」二本松康宏、中根千絵編『城郭の怪異』(三弥井書店、2021年6月)、②「扶桑略記における怪異」扶桑略記を読む会編『扶桑略記を読む』(新典社、2021年8月)、③「天狗信仰と文芸」東アジア恠異学会編『怪異学講義』(勉誠出版、2021年10月)、④「『今昔物語集』にみる霊魂の行方―「悪霊」「蛇道」」日本古典文学研究会編『日本古典文学の研究』(新典社、2021年10月)、⑤「古浄瑠璃『あたごの本地』を読む(完)」(『京都精華大学人文学部紀要』55,2022年3月)の5本の論考を公開し、コラム「是害坊の近世受容 転生する天狗説話」荒木浩、前川志織、木場貴俊編『日本大衆文化研究叢書四 〈キャラクター〉と〈世界〉の大衆文化史』(KADOKAWA、2021年11月)を寄稿した。 また、戦国期に成立したとされる説話集『義残後覚』に関しての所見をまとめ、説話文学会2021年度大会(オンライン、2021年6月27日)において研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により調査を断念し、特に海外調査を行えなかったことで基礎作業は遅れている。文献調査に関しては、調査費を図書購入費に充てる、複写申し込みなどのサービスを利用する、などの代替方法で調査を進めたが、遅れは否めない。そのなかで古浄瑠璃「あたごの本地」注釈の公開、野村美術館蔵『是害房絵』の翻刻作業など、これまでの研究活動で蓄積した成果の公開を進め、『義残後覚』については学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症拡大による活動制限がやや緩和されつつあり、国内調査を再開する予定である。野村美術館蔵『是害房絵』については6月中に再調査を行い、その成果を公開する。『義残後覚』については、学会での質疑応答においても改めて諸本調査の必要性、資料の性格を再検討する必要が指摘されたため、調査を継続したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により国内外の調査が遅れており、調査を継続する必要があるため。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 城郭の怪異2021
Author(s)
二本松康宏、中根千絵
Total Pages
222
Publisher
三弥井書店
ISBN
978-4-8382-3384-7
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[Book] 怪異学講義2021
Author(s)
東アジア恠異学会
Total Pages
416
Publisher
勉誠出版
ISBN
978-4-585-32007-4
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