2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of local literary local magazines in the 1910s-30s: Focusing on "Northern Poet"
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20K12942
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
牧 千夏 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 准教授 (40847589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 文芸同人誌 / 東北地方 / 宮沢賢治 / 郷土文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は『北方詩人』および『山形詩人』などの調査を進められた。福島県に在住する蔵書家に会いに行き、未見の『北方詩人』および関係資料を閲覧した。また福島県立図書館で資料調査をおこなった。また、山形県立図書館には鈴木健太郎関係資料を複写申請し『山形詩人』『北方』等の重要な資料を探索することができた。こうした資料調査や資料閲覧のその結果、次のことがわかった。 まず福島の同人詩誌『北方詩人』の同人の詩人が、高い教育を受け常勤の定職で働いた若い男性詩人であったことがわかった。こうした立場にあった同人は、仕事やライフイベントなどに忙しく、そうした日々のなかで詩作をするしかなかった。そのため、同人の詩作や編集の作業は度々滞り、編集同人や同人の入れ替わりを繰り返すことでなんとか『北方詩人』は継続した。こうした『北方詩人』は、詩誌としても特徴をもった。「北方」と冠するように、北方の人であるという属性を基盤としながら、同人どうしの団結や親睦を重視していた。人生の全てを詩作に賭けられない彼らは、アマチュア詩人として不満や不安を抱き、それを共有して励まし合っていた。そのため、同人は協調的であり、主義主張による対立を避け、互いの詩を積極的に認め合う交流を図っていたことが分かった。 以上の結果を論文としてまとめた。2023年度に『農村青年の文学 昭和初期アマチュア作家と宮沢賢治』(ひつじ書房、2023)の著書としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子どもが、二度重い病気にかかり入院をした。
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Strategy for Future Research Activity |
『北方詩人』が山形および仙台の詩人との関係が深いことがわかった。そのため、その方面に調査をすすめたい。この調査を含めて2023年度に著書を出したい。
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Causes of Carryover |
子どもが入院して複数の出張をキャンセルした。キャンセルした出張を2023年度に行いたい。
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