2023 Fiscal Year Annual Research Report
短篇白話小説『拍案驚奇』『二刻拍案驚奇』の編纂過程についての研究
Project/Area Number |
20K12948
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
笠見 弥生 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (80846436)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凌濛初 / 二拍 / 中国文学 / 白話小説 / 翻案 / 拍案驚奇 / 二刻拍案驚奇 |
Outline of Annual Research Achievements |
短篇白話小説の代表作「三言二拍」の一部、明末の文人凌濛初による短篇白話小説集「二拍」こと『拍案驚奇』及び『二刻拍案驚奇』について、特にその編纂過程に焦点をあてて研究を進めた。 最終年度以前は、自身の「二拍」に関する既発表論文を見直して加筆修正し、「二拍」所収作品の構成とそこに見られる凌濛初の思想についてまとめた(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部2022年度博士論文)他、凌濛初が「二拍」編纂にあたって参照したと考えられる書籍の検証を進め、『元曲選』との関係について論文にまとめて発表した(「凌濛初「二拍」と『元曲選』」、『中国俗文学研究』第26号、2023)。また過去の作品を翻案した文学作品の例を広く調査する中で、横山光輝『水滸伝』の編纂過程についても一定の知見を得られたため論文にまとめた(「横山光輝『水滸伝』に関する一考察」、『高崎経済大学論集』第65巻第3号、2022)。 最終年度においては、凌濛初が「二拍」編纂にあたって原話として採用したと考えられる記事や書籍の検証を継続して行った。先行研究において原話が複数指摘されて矛盾が見られた『二刻拍案驚奇』巻三十について考察して論文「凌濛初「二拍」が基づいた書籍――『二刻拍案驚奇』巻三十の取材源について」(『明清文学論集』編集委員会編『明清文学論集』、東方書店、2024)に発表し、そこでも言及した『亘史』という書籍と「二拍」との関係について更に検討し、論文「凌濛初「二拍」と『亘史』―『拍案驚奇』巻二を中心に―」(『高崎経済大学論集』第66巻第4号、2024)に発表した。 研究期間を通じて、凌濛初「二拍」編纂時の意識や手法について整理し、特にその編纂時に参照した書籍について一定の研究成果が得られた。
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