2020 Fiscal Year Research-status Report
Wide and Long Cold War--Cultural Cold War, US Southern Exceptionalism, and Print Culture
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20K12958
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 亮一 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90770032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | The U.S. Print Culture / Cold War / Lionel Trilling / William Faulkner / Nuclear Age / southern studies / Hill Billy / F. Scott Fitzgerald |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ状況によりかなり調査活動は制限されたが,昨年度は2019年度の調査(コロンビア大学での文献調査)を基にプリントカルチャーの議論をさらに進めることができた. 9月にZoomで行われたアメリカ文学会東京支部での研究発表では,ライオネル・トリリング周辺の雑誌文化に焦点を当てながら,冷戦初期のリベラリズムの在り様を照射した.ここでの議論は,今年出版予定の同学会の学術誌の審査付き論文として掲載されることになっている. その他,『よくわかるアメリカ文化史』という教科書への寄稿など,プリントカルチャーを絡めた議論を継続して各方面で行うことができている.東京工業大学の審査制紀要にも,フィッツジェラルド,ヘミングウェイ,そしてヒルビリー表象を絡めた議論をしたが,これもプリントカルチャー論のアプローチに則っている. その一方で,現状二つの論集の締め切りがコロナ状況により延長となり,業績を出すペースに影響が出ている.一つはプロレタリア文学について,もう一つは日本のウィリアム・フォークナー受容についての論集である.いずれも,これまでのプリントカルチャー論を更に先鋭化させる内容になっている(ほぼ書き終わっている). 現在,同じくプリントカルチャーの路線でミシシッピ大学主催のフォークナー学会への参加が決まっており,前年度の研究実績の集大成となる部分もそこには含まれている.論集については多くの障害や遅延により思い通りのペースで研究業績を示していたとは言えないが,私個人としては着実にこの研究の深みを増すことができた一年であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人としての研究は着実に進んでいるが,昨年より進んでいたはずの論集二冊の出版が様々な要因により遅れてしまっている.ただ,それらに寄稿するはずの論文自体はすでにほぼ仕上がっている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは7月にあるFaulkner and Yoknapatawpha Conferenceでの研究発表を成功させる.その後,同学会での発表原稿を投稿用に仕上げつつ(英語),9月末に遅延している論集二冊のための論文を仕上げる(日本語).それから,これらを含むこれまでの業績を単著に仕上げるための編集作業も進めていく. 新たな資料収集については,海外出張のままならない状況なので,アメリカの各大学図書館からデジタル形式で送信してもらえるものに絞って必要なものを集めていく.その他は,プリントカルチャー論に資するような希少本,雑誌の収集を継続していく.
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Causes of Carryover |
コロナ状況により,予定していた複数の海外出張がままならなかったため.今後の使用計画としては,プリントカルチャーの議論に必要な希少本,雑誌の購入にあてていく.Encounter, Perspectives USA,自由などの文化自由会議やフォード財団関連の雑誌に加え,Life, The New Yorkerなどの既にアーカイヴ化されている雑誌でも,実際の印刷物を見ることでさらに議論の幅が広がっていく.それらをeBayなどのサイトから探していく.
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