2022 Fiscal Year Research-status Report
Wide and Long Cold War--Cultural Cold War, US Southern Exceptionalism, and Print Culture
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20K12958
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 亮一 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90770032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化冷戦 / 核兵器 / エドガー・アラン・ポー / イサム・ノグチ / 野口米次郎 / 恒久戦争 / 批評理論 / 共同体理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナ状況が次第に収まり、後半については資料収集などの活動を広く行うことができた。2019年の夏以降行けずじまいだったアメリカの各大学(主にテキサス大学オースティン校、ニューオリンズのロヨラ大学)における図書館アーカイヴを訪れ、今年度以降の研究、論文執筆、発表の企画に必要な情報を獲得することができた。とりわけウォーカー・パーシーについての情報や、クノプフ社のマーケティング関連の資料は貴重である。 当該年度の前半については、まだZoomによる学会発表という運びにならざるを得なかった。ポー学会の年次大会においては、シンポジウムのオーガナイザー、発表者として、「ポーと戦争」というテーマで議論を行うことができた。19世紀作家であるが、冷戦期における受容、とりわけ野口米次郎やイサム・ノグチの反核兵器的表現のなかに見つかるポー詩の影響関係を論じることができた。そのなかで、家族、都市国家などの共同体概念についての哲学的理論を再読し、これまでの文化冷戦研究に新たな深みを組み込むことができた。テーマの戦争については、ミシェル・フーコー由来の生政治、恒久戦争を視座として、幅広い議論をパネル全体で展開することができた。 併せて、批評理論関連の入門書に寄稿した。その他、上記のポー学会の発表原稿を論文化した。上記は2023年度に出版されるものである。また、2023年度に発行予定の学術誌に寄稿する論文テーマ、核時代のアメリカ南部における白人男性性の「声」を提出した。 そのほか、寄稿は済んでいるが論集であるためまだそのほかの論文が整わず出版にまでこぎつけていないものが3本ほど残っている。それぞれ文化冷戦に関する論文である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでいただいた執筆依頼のそれぞれが自分の研究テーマに沿ったものであるため、当初目標にしていた研究を進めることができている。 しかし、すでに述べた通り論集であるためほかの論文の進捗や編集の都合などで出版が遅れているものが3本ある。しかし、そのうちのいくつかは今年度中に出版予定であるため、おおむね順調であるとした。 また、コロナが収まりアメリカでの資料収集を再開することができた。今後も時間が許す限り積極的に現地での活動を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は8月ごろにアメリカでの資料収集を行い、9月に投稿予定の論文を仕上げたい。それまでに、日本アメリカ文学会東京支部でのシンポジウムがあり、そちらの運営、発表を行う。 併せて9月にはポー学会の会場運営等の仕事があるが、次の科研費申請を行い、10月以降は、新たな学会発表の企画を練ってアプライする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定していたアメリカでの調査がコロナ禍により複数年のあいだ不可能になってきたためである。 使用計画としては、2023年度の夏期休暇、3月頃に渡米する予定であり、その海外出張により消化が見込める。
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