2023 Fiscal Year Annual Research Report
英米文学と初期米国心理学・精神分析学との関係性:宗教との関連を軸としながら
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20K12959
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮澤 優樹 金沢大学, 人文学系, 講師 (00846800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文学と思想 / ヘンリー・ジェイムズ / イーディス・ウォートン / 文学と心理学 / 英米文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の最終年度に当たる2023年度においては、これまでと同様のテーマに基づく調査を進めると同時に、これまで調査によって明らかとなった事項を成果として取りまとめる作業を主に行った。19-20世紀転換期の英米文学を代表する作家であったヘンリー・ジェイムズを対象とした調査・研究においては、同時代の心理学や宗教的な動向が作品にどのような影響を与え、しかもそれが同時代の文化的・思想的な潮流とどのような相互関係を持っていたか、ジェイムズ自身や作品が持っていた交流関係を軸に調査してきた。2023年の成果として、その調査内容の一部をヘンリー・ジェイムズ研究者によって構成されるHenry James Societyの主催する国際学会(9th International Conference of the Henry James Society)にて報告した。また、本研究では主に19世紀末から20世紀初頭にかけての小説を研究対象としてきたが、そこに影響を与えた19世紀小説についても、主題の宗教的・倫理的な側面から、考察するに至った。とりわけ英国の作家チャールズ・ディケンズやジョージ・エリオットの小説がその対象となった。両作家についての調査結果は2本の論文としてまとめ、国内外の査読付きジャーナルにて発表する予定である。そのほかの成果として、研究対象としたイーディス・ウォートンの小説『イーサン・フロム』の翻訳を2024年度以降に刊行する予定である。さらに、これまでの研究成果全体を書籍として刊行する準備を進めている。
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