2021 Fiscal Year Research-status Report
Critiques of Jacobean Government in Fulke Greville's Later Works
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20K12972
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
西野 友一朗 岡山理科大学, 教育学部, 講師 (10845697)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フルク・グレヴィル / 英文学 / 初期近代 / 初期ステュアート朝 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度の学会発表から得られた国内外の研究者からの意見を踏まえ、フルク・グレヴィル(Fulke Greville, 1554-1628)が初期ステュアート朝に執筆した詩や劇作品おける政治批判的表現を再分析した。具体的には、グレヴィルがジェイムズ1世の助言者であったことに着目し、初期近代イギリスの君主制政治における助言者の役割を作品解釈に援用できないか検討した。そして、グレヴィルがジェイムズ政権を批判しているように思われる表現は、国王への助言として解釈されることもあり、必ずしも全ての政治批判がそのまま批判として認識されなかった可能性を考察した。再分析の対象とした作品は『ムスタファ』(Mustapha) と詩集『シーリカ』(Caelica)の2つであり、両作品を初期近代イギリスの君主制政治における助言者の役割という観点から再度分析した。これまで多くの研究によってグレヴィルはジェイムズ政権に対して否定的な意見を持っており、それによって彼の作品が政治批判として読めるとみなされてきたことを踏まえると、本年度で得られた新たな知見はグレヴィルの作品に新解釈をもたらすことにつながる。本年度では、初期近代イギリスにおける助言者と初期近代イギリスの文学作品との関連を結びつけるために、先行研究をまとめる作業が主となった。そのため、来年度(最終年度)では先行研究をまとめた上で新たに得られたグレヴィルの作品解釈を国内外の諸学会にて発表していきたい。また、科研費で購入した書籍によって得られた副次的な成果として、シェイクスピアとジョン・フレッチャーによる『二人の貴公子』(The Two Noble Kinsmen)にはジェイムズ1世による平和主義政策がもたらした失業兵士の増加が揶揄されていることを日本英文学会中国四国支部にて発表し、情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文学作品の分析は滞りなくおこなわれている。しかしながら、研究成果の発表が新型コロナウィルス(Covid-19)の世界的な感染拡大の影響により、当初予定していた国外での学会参加が不可能となったため、情報交換の機会が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス(Covid-19)の世界的な感染拡大の状況を注視しながら、当初予定していた国外の学会に参加し、グレヴィルの専門家と情報交換をする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(Covid-19)の世界的な感染拡大により、予定していた国際学会の参加が不可能となったため。
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Research Products
(1 results)