2020 Fiscal Year Research-status Report
古代詩学のキリスト教的変容―古代末期/ルネサンス期聖書叙事詩の文学史的研究
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20K12984
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上月 翔太 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 助教 (90860867)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 聖書叙事詩 / セドゥリウス / Carmen Paschale / 伝統 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は海外渡航はかなわなかったが、初期キリスト教詩などに関する最新文献の収集に努めた。近年の関連文献の出版状況から、聖書叙事詩をはじめとした古代末期のキリスト教詩文学への関心が少しずつ大きくなっていることがわかる。 今年度は紀元5世紀の詩人、セドゥリウスによる聖書叙事詩Carmen Paschaleの研究を進めた。今年度は特に、第1歌の検討を行った。この研究では本作が、それまでの「異教的」古代の叙事詩に見られる複数の類型を統合していること、旧約聖書と新約聖書という2つの聖書の伝承を構造的に1つの作品として統合していることにおいて特徴を有していることを示した。さらにこうした複数の伝統を統合する詩人が「ダヴィデの歌に通じた詩人」とされる詩人の自己規定について、先立つキリスト教文学の歴史との関係、詩編解釈に認められていた機能から解釈できる可能性を示した。以上の成果を論文化した。 以上の研究により、セドゥリウスを文学ジャンルとしての聖書叙事詩を確立した詩人として評価することができるものと考える。このことは本邦においてまだ知られざるジャンルである聖書叙事詩を紹介するにあたって、より強調すべき点になるかと思われる。 あわせて宗教的聖典が文学化される過程について、キリスト教以外の宗教についても関連文献等を通じて知見を得た。論文などに直接反映が難しいが、古代の宗教と文学創作についてより深い理解が可能になったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果を論文化できていることから基本的には順調に進展しているといえる。ただし、出張に制限がかかり、他の研究者との交流の機会が少なくなっていることから次年度は議論の場を工夫することが望まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
セドゥリウスCarmen Paschale研究の2年目として第2歌以降のイエス・エピソードを主として取り扱う。また、同時代にギリシア語で新約聖書のパラフレーズを著したとされる、パノポリスのノンノスについての検討に着手する。2021年度で古代末期の作例についてはおおよそ見通しをつける予定である。
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Causes of Carryover |
発注していた図書の納品が1点滞ったため。当該の金額については納品され次第2021年度に処理する予定。
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