2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K12986
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
志々見 剛 学習院大学, 文学部, 准教授 (40738069)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボダン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、16世紀のフランスを代表する著作家・思想家であるボダンについての基本的な文献を総覧し、その上で、とりわけ彼の比較的初期の著作――具体的には、『若者の教育についてトゥールーズ民会と市民に宛てた演説』(1559)と『歴史を容易に理解するための方法』(1666)――について検討しようと考えていた。ボダンはしばしば、『国家論』の著者として、政治理論家の側面が大きく取り上げられるが、それ以前の著作では、『国家論』に連なる様々なテーマがすでに明確に表れている一方で、人文主義者としての彼の姿勢も同時にうかがうことができるからである。中でも、『歴史を容易に理解するための方法』は、ルネサンスの歴史記述論の劃期をなすものとして、フランスにとどまらず、大きな影響を与えた著作であり、改めてこれを検討することは大きな意義がある。 このように、今後の自分の研究を進めていくうえでも土台となるような重要な初年度ではあったが、実際のところ、世界的な新型コロナウィルスの流行によって、仕事においても生活においても多大な影響をこうむり、一年を通して、研究に専念することなどとうていできなかった。夏季休暇を利用してフランスで資料収集を行いたいと考えていたが、むろんこれも、実施することはできなかった。ただ、それでもある程度の基本的な文献に目を通すことができたので、できる限り次年度以降の研究に生かしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス流行の影響により、仕事上も生活上も忙殺され、研究のための十分な時間が取れなかった。また、フランスでの資料収集も行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの流行が今後どのように推移していくのか不透明ではあるが、 ・当初考えていたようには充分な研究時間が確保できないだろうこと ・海外での資料収集その他は、しばらくの間困難であろうこと を前提として、研究をある程度、組み替える必要があるだろう。研究の対象となる著作を絞るなどして、対応したい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外への渡航が不可能となったため。今後の状況の推移を見ながらではあるが、可能になったら、海外での資料収集を行いたい。
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