2020 Fiscal Year Research-status Report
The Japanese Lexicon Project
Project/Area Number |
20K13012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大関 洋平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10821994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形態論 / レキシコン / 日本語 / 複合動詞 / 他動性交替 / 動詞 / 形容詞 / 名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本語レキシコンに関する語彙統計・形態構造・行動実験データを統合した語彙データベース「日本語レキシコンプロジェクト」を開発し、先行研究における理論・実験形態論の研究成果に基づいて評価することを目的とする。また、開発した語彙データベースは、オープンアクセスとして一般に公開する予定であり、形態論・レキシコン研究のみならず、心理言語学・応用言語学・自然言語処理・リハビリテーションなど広範な隣接分野に対する学術的・社会的インパクトが期待される。 今年度は、日本語レキシコンプロジェクトの開発に向けて、基礎研究を実施した。まず、国立国語研究所の「複合動詞レキシコン」と「使役交替言語地図」をPythonプログラムで解析し、Morphology & Lexicon Forum (MLF) 2020で発表「Compound verbs in transitivity harmony and alternation」を行った。また、Morphology & Lexicon Forum (MLF) 2019で発表した日本語の他動性交替に関する研究を論文「分散形態論と日本語の他動性交替」としてまとめ、『レキシコン研究の現代的課題』(くろしお出版)に出版した。更に、研究室の大学院生6名も研究協力者として各自の専門領域で基礎研究を実施し、研究代表者の論文「形態論の計算認知神経科学に向けて」と併せて、計7本の論文を『言語研究の楽しさと楽しみー伊藤たかね先生退職記念論文集ー』(開拓社)に出版した。加えて、日本英語学会第36回大会で企画したシンポジウム「言語理論における形態論の「分散」をめぐる諸問題」に基づき、論文集『形態論と統語論のインターフェイス(仮)』(開拓社)を出版する予定である。最後に、David Crystal (2019) The Cambridge Encyclopedia of the English Languageのレキシコンに関する章「第12章 レキシコンの諸側面」を翻訳し、『ケンブリッジ英語百科事典』(朝倉書店)として出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、基礎研究については、十分な実績を残すことが出来たと考える。一方、語彙判断実験については、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響により、まだ着手できていない。従って、これらを総合的に判断して、現在までの進捗状況の区分を「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、基礎研究については、研究室の大学院生をリサーチ・アシスタントとして雇用し、各自の専門領域に応じて「動詞班」、「形容詞班」、「名詞班」に割り振った上で、影山太郎氏の『意味と構文』シリーズ(大修館書店)をデータ化する。また、語彙判断実験については、当初予定していた対面実験では無く、データの質こそ劣るものの量を効率的に収集することが出来るクラウドソーシング(ランサーズ株式会社)に方針転換する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響により、主に出張のための旅費および実験のための人件費・謝金について次年度使用額が生じており、クラウドソーシングに方針転換することで使用する計画である。
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